愛されメイドの備忘録 (ページ26)

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好きな人の為になんでも・橙ページ26

『冤罪かどうかを決めるのは裁判所。俺らはできる限り証拠を見つけて少しでも冤罪事件を減らすことが仕事や…』

丸山くんの仕事場にお邪魔する事になったのだけど、いつもの陽気でうるさい……優しい丸山くんとは違って、真面目な顔して仲間の皆さんと仕事をする姿に私はとても惹かれていた。

〔メイドさんの作る珈琲は格別だね！〕

「本当ですか？喜んで頂けて良かったです」

皆さんとても優しくて明るくて、丸山くんの元で働く人は皆楽しそうだった。

「良ければこちらも是非！」

〔ん！美味しい〜こんなの俺も毎日食べれたらなぁ〕

〔メイドさんたまには俺ん家に来てよ！〕

「それは…丸山くんの許可が無いと」

〔丸山さんなら許してくれるってねぇ？〕

〔うんうんメイドさんの作る料理俺にも食べさせて？〕

皆さんに誘われ、戸惑っていると私を後ろから抱きしめる大きな身体。

『僕のメイドちゃんを勝手に口説くなや』

〔丸山さん…！メイドさん俺らにも貸してくださいよ！〕

『刑法235条…窃盗罪。人のものを盗もうとすんなや』

〔そんな物騒な…笑ちなみに丸山さんもご存知の通り窃盗罪は人には関係ありませんよ？〕

『やから…窃盗罪』

丸山くんは疲れているのか、ボサボサな頭で虚ろな瞳を私に向けていた。

『メイドちゃんは僕のものやからね』

〔ものって…〕

『今受けてる依頼の中で奥さんを殺した罪に問われてる旦那さんが居るんやけどさ…絶対殺したくせに殺してへんって言い張るんよ』

私の髪に指を通して離れていく丸山くんは部下の2人の前に立つと、机の上に手を置いて笑みを浮かべた。

『好きな人を殺したくなることって誰にでもあることなのに…隠さんでもええやんなぁ？』

〔そ…そうですね…〕

丸山くんの笑みに何かを感じた部下の2人は足早に去ってしまった。