愛されメイドの備忘録〈２〉 (ページ8)

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『なるほどな…俺が絵を描く理由はメイドやったんや』

「え？」

『縛りつけた後は…どうしよか？』

力強く腕を掴むと椅子へと無理矢理座らせた。

『そうや…青に染めへんと…』

「安田さん…！落ち着いてください！」

青い絵の具を手に取ってメイドにかけようとしたが、そこにはもう彼女の姿はなかった。

『美しくない…』

ﾀﾞﾝｯとドアが勢い良く閉まる音が部屋に響き渡る。

その日から俺は停止されることのない脳内の現実世界を絵に描き続けた。

それを出品すれば風景画よりも高値がついた。

俺の絵に描かれている女性は一体何者なのか、そんな噂がたち俺は人気有名画家へと一気に成り上がった。

ｺﾝｺﾝ

『入ん…』

『入んな』

『ヤスの絵が欲しいって言う奴らばっかりや』

『だから入って来んなって…』

『へぇ…もうメイドと付き合ってるんか。強引やなぁ…』

『村上くん…この絵を理解してくれるん？』

『理解っていうか…分かるやろ普通に』

村上くんは俺の絵を手に取るとじっと見つめる。

その瞳の奥は真っ黒に染まり、感情が何一つ伝わってこない。

『この絵いくらや？』

『別に…まだ決めてへんけど』

『500でどうや』

『え？村上くん絵なんて…』

『このメイドよう描けとる…金は振り込んどくで』

『いや…ちょ…』

出て行こうとする村上くんを引き止めようとすれば、村上くんは勢いよくこちらへ振り向いた。

『ヤスが知らん世界でのメイドは大倉に惚れかけとるかもしれんで？』

そう言い残すと村上くんは俺の部屋から出て行った。

『俺の知らん世界…？』

言っていることがよく分からなかった。

やってメイドは俺ので…愛し合って…るはず？

『あぁ…もっと縛りつけなあかんのか』

俺は部屋を出ると緑色のドアを目指した。

しかしその途中俺の歩みは止まり、本当の現実世界を目の当たりにした。