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『お前の女やろ。ちゃんと始末せえへんからこうなんねん』
『あいつら…』
「お知り合いなんですか?」
『本物の婚約者やろ』
「え!?」
『ちゃうし!ちゃんと断ったんや』
『ちゃんと断ったのならストーカーなんてされへん』
横山さんは私の手を握ると自分の方へと引き寄せた。
『Aに危害が及ぶ前に…片付けろ』
そう言うと横山さんはその場から私を連れて立ち去った。
「あの…横山さん…!」
『お前はどこに行っても危機感があらへんよな』
「そんなことは…」
『別に俺らに危機感を持てとは言わへんよ。大倉に抱かれてても別にどうでもええわ』
「な…私はそんな軽い女では」
『お前は俺らのやろ』
「私は…主の皆さん以外興味ありませんし、危機感だってしっかりあります!」
はっきり言い捨てると、横山さんは手を挙げてタクシーを停めた。
『ならさっさと帰んで』
「大倉さんは…」
『女の後始末』
横山さんと共にタクシーに乗り込むとあっという間に屋敷の前に到着した。
「デート途中で終わってしまいましたね…」
『チッ…』
「横山さん…?」
『え…あぁなんでもあらへん。先帰ってろ大倉迎えに行ってくる』
スマホを見ると顔色を変えてタクシーに乗り込んだ横山さん。
「何かあったんですか…?」
『予想外のことが起こった』
目の前から去っていったタクシーを見送ると後ろから叩かれた肩。
『大倉またやらかし?』
「丸山くん…やらかし?」
今帰ってきたのかスーツ姿の丸山くんから鞄を受け取ると屋敷の中へと入る。
『ん〜大倉ってさめっちゃモテるしめっちゃお見合いしてるやん?』
「うん…」
『そんで全部一方的に断んねや。理由もなく会って最初の食事でやで?』
「はぁ…」
『でもさ女性からしたらめっちゃええ物件やんか。特に俺とヤス以外は。やからさ…付いてまうねん』
「付く?」
『ストーカー』
「あ、さっきも大倉さんの後ろにいた…しかも複数人」
『やろ?でも大倉はさ追い払わへんねん』
「どうして?」
『追い払わへんより追い払えないが正解やねんけど。大倉は親父さんになんも言ってへんからさ、しかも嘘ついて婚約者居る言うてもうてる』
橙色の部屋の前まで着くと丸山くんは私から鞄を受け取って頭に手を置いた。
『まぁ横山くんが居るなら大丈夫やからさ、心配せんの』
「ねぇ丸山くん…」
『ん?』
「もう1つ聞いてもいい?」
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作者名:夜 | 作成日時:2022年2月8日 22時