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それから使用人は俺が落ち着くまでそばに居てくれた。
ベッドの上で使用人の膝に頭を乗っけて彼女を感じれば何もかもが浄化される。
『使用人…』
「はい?」
『もし使用人が男に襲われたり言い寄られたりした時は…俺がその男を始末するから』
「始末って…物騒なことはやめてくださいよ?」
『殺したって罪には問われへん』
「そんなことないです」
『丸が言ってた…正当防衛やって』
俺は身体を起こすと使用人を抱き上げて自分の膝の上に乗せた。
「それは正当防衛になるんですか…?」
『使用人が嘘ついて殺されかけましたって言えばなる』
「そんな…それだと相手の方が…」
『どうでもええやろ。使用人に手を出そうとした時点でそいつの人生は終わり。使用人は俺らのものやねんから』
そう言って頬に手を添えると使用人は気まづそうに視線を逸らした。
「でも本当に大倉さんが罪に問われないとは言い切れません」
『だから丸が居るんやろ。あいつは最高の敏腕弁護士やで』
そう言って微笑みかけると使用人は少し顔を歪めた。
でも俺は気にせず唇を押し付けた。
使用人の為なら犯罪をも犯すことを覚悟してるなんて…重たい愛情を受け止めるのはきっとまだ無理よな。
でも俺らはそれほどにお前を愛してるんや。
『なぁ!また丸と出掛けたん?!』
「出掛けたというか…すぐそこのスーパーですよ」
『あかん。ずるい』
「子供みたいな事言ってないで早く着替えてください」
『嫌や。次は俺と行くって誓ったらええよ』
「次は大倉さんと行くことを誓います」
『適当…』
使用人は以前よりも俺を雑に扱うようになった。
それでも俺の日課はやめることはない。
『ん…今日のキスな?』
「毎日毎日…飽きませんね」
『嬉しいくせに』
「か…からかう暇あるなら早く着替えてください!」
『はいはい笑』
これからもずっと想いを伝え続ける。
離したりなんかしない。
もちろん永遠に。
”
使用人に恋してから頻繁にとある夢を見る。
それは5本の鎖に縛り付けられもがき苦しむ使用人が、俺らに手を伸ばして助けを求める映像。
もちろんこちらも手を伸ばせば使用人を抱き締めることが出来る。
でも…使用人の首に強く何重にも巻かれた鎖が引き離す。
そして使用人はとある人物の胸の中へと引きずり込まれて行く。
真っ黒な瞳をした男の胸に。
ミドリイロノカンジョウ
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作者名:夜 | 作成日時:2022年2月8日 22時