緑色 ページ11
ずっと俺は孤独を感じていたのかもしれない。
金にも女にも困ったことはない何一つ不自由ない生活。
欲しいと思ったものは全て手に入るから苦労なんてしたことない。
そんな俺が唯一手に入れることができない女に出会い、知らなかった自分の本性を知ることになった。
「大倉さん!お荷物が届いてましたよ」
『捨てといて』
「え?なんか高そうなワインですけど…」
『しつこい女からのワインなんか値段関係なく飲む気あらへんわ』
「そうですか…」
『何?俺がおかしいん?』
「いえ…ただこのワイン大倉さんのことをしっかり考えて送られたのが伝わってくるので…少し…」
使用人は俺の命令を一度では納得することがない。
今までの奴らは俺を怖がって口答えなんてしなかったのに。
『はぁ…コルク見てみろよ』
「コルク…?あっ…!」
『小さく穴が空いてるやろ。何か入ってる証拠や』
「そんな…す…すみませんでした!」
使用人の割には阿呆で天然でミスが多い。
でもこいつだけは俺を金持ちの坊ちゃん扱いをしなかった。
「ですから…ライオンは飼えません!」
『だから…金ならある言うてるやん』
「そういう買えるではなく!そもそもしっかりとした檻もないこの屋敷にライオン自体飼えないって言ってるんです!」
『うるさ…』
「法律でちゃんと決められてるんです」
『法律のことは丸に言ってくださーい』
「大倉さんがいきなりライオン飼いたいって言うからですよ!」
『使用人ってさ…ほんま遊べるわ』
「からかってますよね?もういいです。夕食お代わり禁止にしますから」
『は…そんなんずるいやろ!』
口喧嘩でも勝てない俺との会話を楽しんでる使用人がとてつもなく愛くるしかった。
俺はそれから使用人に絡みにいくことが増えた。
いや…俺は使用人に夢中になっていたんや。
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作者名:夜 | 作成日時:2022年2月8日 22時