落し物は命でした (ページ10)

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＿＿＿廉side

紫耀の家に入ったら

奥の方から走ってくる小さい女の子が。

その子は俺らを見つけると泣きそうな顔をする。

紫耀は慌ててその子を抱き上げて

あやすように俺を指差した。

いや、意味が分からん。

彼女、ではないやんな。

こんな小さい子が彼女やったら引くわ。

紫耀「…彼女の妹やねん。」

みんなの衝撃がちょっと落ち着いてから

あぐらをかいてる紫耀の膝の上に座る

小さな女の子の頭を撫でて紫耀は言った。

廉「え、彼女はおるん？」

紫耀「彼女は…ごめん、おったわ。」

なんて言って笑う紫耀。

紫耀「でも、突然おらんくなって

その代わりにこの子が彼女の家におってん。」

おらんくなったって家出とか？

紫耀「多分、もう帰らん気がする。」

海人「行方不明とか失踪ってこと？」

紫耀「多分な。」

そう言って紫耀は彼女の写真を見せてくれた。

女の子そっくりで可愛くて

紫耀に似合いそうな感じの美人さん。

紫耀「…美優に預けられたから

俺は里奈をちゃんと育てる。」

廉「それ、紫耀一人では無理やと思うで。」

俺は知ってる。

紫耀が結構責任感強いこと。

彼女さんは紫耀をその責任感の強さに漬け込んで

里奈ちゃんを置いて行ったんやと思う。

海人「廉、紫耀も頑張ってるみたいなんだし。」

廉「違う。紫耀には無理やなんて言うてへん。

俺らも頼れって言ってんねん。」

紫耀「…廉…！」

相変わらず呑気そうに

おもちゃで遊んでる里奈ちゃんを見ると

なんか俺まで優しい気持ちになってくる。

廉「紫耀は…無理するところあるし。

俺らでいいんやったら何でもするで。」

そう言うと感動したように紫耀が泣いた。

初めて紫耀の涙を見た。

「にーに、ないてる。」

机の上からティッシュを取って

紫耀に渡してあげる里奈ちゃんは…

どこか５歳児感を感じなかった。

紫耀「里奈、このお兄さん達も

里奈のお世話してくれるって。」

「やったっ。」

なんか紫耀がお兄ちゃんに見えるわw