CASE 1-1 ページ2
(水瀬)
『ねぇ、今度の日本総合外科学会の理事長選どっちが勝つと思う？』
「興味ねぇよ。」
『あの人苦手なんだよな、何て名前だっけ帝華大の教授。』
「知らん。」
『今日のオペも佐伯先生が失敗すると思って笑いに来たのかな、暇だよねぇ。』
「お前さ、」
『何。』
「いつまで其処で寛いでペチャクチャ喋ってんの？邪魔。」
目の前の男…渡海征司郎は、仮眠室(ほぼ半分は彼の自室と化している)のソファで湯気の立つコーヒーの入ったマグカップを啜る私に鋭い視線を向けて冷たい言葉を紡いだ。
東城大学医学部付属病院。
東海地区では名の知られた病院だけど、全国的な知名度は殆ど無い。
そんな病院に、今日は超一流の国立大学病院のお偉い教授さんが視察にやってくるらしい。
『だって！今日のオペ、その帝華大の教授来るからって助手にすらなれなかったんだもん。あぁ切りたかった。切りたかったよ私は！』
今日は合併症を伴う患者のかなり難しい手術を行う予定で、術前カンファレンスで私も執刀したいと強く名乗り出たものの、別の先生の方が手術台周りの見栄えがいいだろう…なんてそんな納得のいかない理由で手術室への立ち入りを禁じられた。
その場で患者の身体にメスを入れる真似をすると、ハァと大きな溜息を吐いて渡海は私の隣の空いた空間にドカッと音を立てて座り、背もたれに寄りかかって天井を見上げた。
「お前みたいな手術マニアがニヤッニヤしながら手術室入ってるとこ見られたくねぇんだろ。」
『マスクしてるからニヤニヤしてるのなんて判るわけなくない？』
「目と声のトーンで判んだよ。で、何で此処に居るわけ？寝たいんだけど。」
『その教授来るってだけで医局ピリついてんだもん。あんな空気感の所には居られない。』
「何だそれ。」
渡海は私との会話全てに面倒臭そうに応える。彼は肘掛に頭を乗せて足をあげると隣に座る私の太腿にその足を乗せて目を瞑った。
普通は足乗せるんじゃなくて膝枕じゃないの？と見当違いの言葉を小さく呟くと、それが耳に入ったのか盛大に舌打ちをされた。
『アンタの言葉を借りるなら…邪魔、なんだけど。』
「だったら出てけ。」
出て行くのはちょっと…と考えていると暫くして聞こえてきたのは規則的な寝息で、さすがに寝落ちが秒速過ぎてクスッと笑みが溢れた。
周りに目を遣り近くにあった医学書に手を伸ばす。彼が起きるまでこのまま静かにしていようと心に決めた。
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ふみ(プロフ) - 面白かったです！第2話も楽しみにしてます！ (2018年4月28日 11時) (
レス) id: 26dbac27a1 (このIDを非表示/違反報告)
まき - 瑠架さん» よろしければ、ブラックペアン好きの人集まれ〜っていうブラックペアン好きの人で、語り合うものに、参加してくれませんか？よろしければで、結構なんですけど… (2018年4月27日 17時) (レス) id: 3b4af15f43 (このIDを非表示/違反報告)
まき - 面白いです！続きが、気になります！！更新大変だと思いますが、頑張ってください！！応援してます！ (2018年4月26日 22時) (レス) id: 3b4af15f43 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです(≧∀≦)続きが、すごく気になります(≧∀≦)これからも、頑張って下さい(≧∀≦) (2018年4月24日 22時) (レス) id: e4c62973b8 (このIDを非表示/違反報告)
LOVEPEACE24(プロフ) - いえ！更新、楽しみにしています (2018年4月24日 12時) (レス) id: 559ce0551a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠架 | 作成日時：2018年4月23日 20時
