やめてください、ジャンハオ先生！

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･



…気まずい


お互いに作業しているとは言え無言の空間




別に先生と話したいとか

そういう訳じゃないけど



静かすぎて息が詰まりそうだ







…ﾋﾟｺﾝ



誰かから届いたLINEの通知音が鳴る







ギュビンヌナまだ学校いる?


Aいるけど、どうかした?


ギュビンほんと!?


ギュビンすごい雨降ってきたから部活切り上げることになったんだけど、俺傘持ってきてなくて


Aヌナ傘持ってきてるから一緒に帰ろっか


ギュビンうん!ありがと助かる!


ギュビン教室で待ってる!



雨、降ってるんだ


ここはカーテンが閉め切られているから気付かなかった




途中で降ってきたってことは、


ギュビナ雨に濡れちゃったかな




あの子すぐ風邪引くから心配になる



もうすぐ大きな大会あるって言ってたし、


家に帰ったら温かいスープでも作ってあげよう






･




『……彼氏か？』




「…え？」



なんとも素っ頓狂な声が出る







『…まあいい、手止まってんぞ早く動かせその手』




「…言われなくても動かしますー

早く帰りたいんで」




『…あっそ』











そう言うとまたカタカタとパソコンの音がする。




早くこの空間から抜け出したくて


残り少なくなったプリントを見て


もうひと踏ん張り、と気合いを入れる。







･



「…終わった……！」



あんなにあった大量のプリントも


なんとか全部ホッチキス止めして冊子にすることが出来た






肩凝りそうだな…



大きく伸びをした私をチラッと見る先生






『…キムA』




「…はい？」




『…ありがとう、

俺1人じゃ明日までに間に合わなかった

…助かった』




「…いえ、じゃあ帰りますね」






私は足早に準備室を出た。










･



ずっと俺様だったのに、


まさか素直にお礼を言われると思ってなかったから、




びっくりした




パソコンと向き合いながら言われたから


正面から先生の顔を見れた訳じゃないけど、



確かにその耳は赤くなっていた気がする。





その一連の仕草に

不覚にもドキッとしてしまったのが悔しい



先生はまだこの後も残業をするのだろうか



もうすっかり日が暮れて暗くなった校舎の中で


ポツンと明かりがついている英語準備室を振り返って




私はギュビナの教室に向かって歩き出した。

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