202話 ページ2
3年高木(中)「っ!(うそ…待って、落ち着け私…)」
石川第一(中)「(スパンッ)」
「よーし!」とかかるのは自分じゃない。
桐先の中である高木も、部長である大野と同じく二巡目で外してしまった。
目を閉じ深呼吸をして、このイヤな流れから脱出しようと試みるもどうも落ち着かない。
まるでいつもの桐先(私たち)を見ているようだ。
相手の試合運びを崩し、立て直す前に勝敗を決する。
これが桐先の戦法のはずなのに、それをやられている。
大野と高木は内心冷や汗が止まらなかった。
自分たちは3年生でここで負けたら後がない、
それにAがいるのに足を引っ張るワケにはいかない、
なのに崩れて呑まれているのは自分たちのほうで。
『…(先輩たちの背中が小さい、)』
スパンッ、と的中させたAは残心を取り前を向くと、2人の先輩の後ろ姿がいつもより小さく感じた。
彼女たちだってAという逸材には手も足も出ないものの、桐先という名門校でレギュラーを勝ち取るほどの実力はあるし、技量だってある。
そんな2人が二巡目から外すのは珍しいので、Aは自分が射る番まで流れるように動作をしながら考えた。
『…(緊張してんのか?いや、それだったら試合前分かる。)』
流れなんか、試合運びなんか関係ない。
さらなる高みを目指しているAにとって、今の自分ができる最高の射をすることが一番。
そんな彼女が、先輩たちがブレている理由を理解するには難しかった。
『(一射目は技術、二射目は体力、三射目は精神力で中てると先生が言っていたな。
単にスタミナ切れ?)』
自分の恩師の1人である西園寺の言っていたことを思い出したA。
弓を左膝に置き、右手を右の腰にとる。
弓構えをし、的へ視線を向けるとふと気付いた。
『(あれ、向こうとこっちの中り本数がいつもと逆だ)』
相手が的中で、こちら側が外している。
おかしいな
ここでようやくAは答えを見つけるヒントに気が付いた。
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(名前)(プロフ) - 面白すぎます!応援してます!更新頑張ってください!応援してます!夢主イケメン! (2020年6月10日 19時) (レス) id: 0a80c4d22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青 | 作成日時:2019年5月4日 17時