【すとぷり】閉じ込められていた彼は。

1話　追い出された。 ページ2

貴方side


「朔夜様。主人がお呼びです。」

『…分かった。恭さん…気づいてるんでしょ？』

「…何のことでしょうか？」

『…今日言われることも、全部。…まあ、いいんだけど。』

「…お家の準備は整えました。朔夜様ならお気に召すかと。」

『…そう。準備、整えてあるから…お願い。』

「畏まりました。」



…昨日の家の騒がしさ。…倒産したんだろうな。


――――――――――――


『失礼致します。』

父「来たか。要件を端的に言う。家は倒産した。」



やっぱり。…俺を呼んでどうするのか。



父「よって。お前が生きている意味はなくなった。

　流石に殺しはしない。殺人犯になるつもりは無いからな。

　お前には出ていって貰う。今の貯金は持って行くことを許可する。

　同時に、佐々木も解雇する。以上だ。出ていけ。」

『…分かりました。今まで、お世話になりました。』



家から出たのなんて、片手で数えられる程度。


…家にずっといたし、仕事勉強も終わらせたら実況や


歌い手活動をしていたし、最悪の場合、お金の工面は大丈夫。


恭さんには、申し訳ないことしたかな…


――――――――――――


「…申し訳ないことした、とか思っているんじゃないですよね？」

『…恭さんって、勘が鋭いよね。』

「そんなこと考える必要ありませんよ。執事でなくなったとしても、

　朔夜様を見捨てたりはしません。とりあえず、偽名を考えましょう。

　新居まで運転している間に考えて下さい。家具なども揃えて置きました。

　…ただ僕も毎日暇なわけではありませんから、毎日行くことは出来ません。

　まあ、朔夜様はご自分で身の回りのこともできますし、

　気を付けるのは、外を出歩くことですかね。」

『…分かってる。ありがと、恭さん。…敬語じゃなくても、いいけど。

　俺はもう、恭さんに敬われるべき立場でもないし。』

「…それもそう、だな。…じゃ、朔夜がするべきことはさっき言ったこと。」

『分かった。』


――――――――――――


『…ここまで、揃えてくれてありがとう。』

「偽名の方は思いついたか？」

『…朔良、とかどう？』

「いいんじゃないか？苗字は？」

『…何がいいと思う？』

「…白兎、とか。朔月のイメージイラストからだけど。」

『！いいな、それ。じゃあ…白兎朔良が俺の名前、な。』

「ああ。じゃあ、またな。」

『うん。ありがとう。』

「はいはい。」

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