虎と兎4「依頼」 ページ6
〜Aside〜
「あはは、そうだね。ありがとー!」
″ありがとう″と云われた
お礼を云われる事なんて、滅多になかったから、嬉しくて口元が緩んだ気がする
変な顔してないといいけど………
空気が和んだところに、″只今帰りました″という声が幾つか響く
社員さん達が帰って来たのだろう
金髪の子供、和装の男性、砂色の
「あれ。その子、依頼人……の方ですか?」
橙色に近いの茶髪の、袖が少し長い…所謂萌袖の服を着た男性が問う
その男性の言葉に、私の周りに人が集る
人が沢山いるのは……あんまり好きじゃないんだけど……
「でも依頼人にしては若いというか幼いというか……」
″僕と同じくらいでしょうか?″と金髪の男の子が首を傾げている
確かに背丈は同じくらいだけど、彼の方が幼さがある。私は一応17だし。歳は近くても同い年には思えない
「敦さんが連れてこられたんですよ。それよりお帰りなさいませ、兄様〜!」
最初に私に服を大量に着せてきたセーラー服の子が、萌袖の彼に抱きつく
否、最早抱きつくのレベルを通り越している
グキッと痛々しい音が響き、萌袖の彼は悲痛な叫びを叫ぶも、周りは特に反応を見せない辺り、これが彼らの通常運転なのだろう
「何か依頼ですか?」
眼鏡で高身長の男性が問いかけてきた
話すこと自体余り得意でない私は、失礼ながらも言葉は発せず、ただ頷いた
男性は名を名乗る
国木田「探偵社員の国木田です。先ずはお名前と依頼内容を」
A「………灰谷…Aです……」
声が小さく、ボソボソとした言葉になってしまい、聞き取れるかと不安になったが、男性は″灰谷さんですね″とメモをとったので大丈夫だった
A「依頼内容は……」
ここで私は先の言葉に悩んだ
先刻、探偵社……及び中島さんに″殺してほしい″と頼んだものの、探偵社はそういう仕事はしないと断られている
ならばどういう言葉で依頼をするべきか……
どうにかして私の息の根を止めてほしいのだけれど、″殺して″という直球な依頼で駄目なら、どう遠回りしようが無理なのではないかと思う
加えて人殺しは、暦の上では罪となる。頼んでも了承してくれる人など中々いない
私は迷いに迷い、こう云った
A「私を……私のことを、殺してくれる人を探してください」
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果汁ジノ%(プロフ) - もちさん» ありがとうございます!べた褒め……めちゃくちゃ嬉しいです!新作の方も宜しくお願いしますね!( ´ー`) (2019年2月12日 17時) (レス) id: e1e76f0140 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 初コメ失礼します。果汁ジノ%さんの作品とても好きです!このシリーズ最初から読んでいて、物語の設定や進め方がとても素晴らしいと思いました!イラストも上手で尊敬します!これからも頑張って下さい!! (2019年2月12日 15時) (レス) id: 41bd20641c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 果汁ジノ%さん» (。・_・。)ノ (2019年2月11日 20時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
果汁ジノ%(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!黒の時代の話はすぐに終わると思うので、続編までの息休め程度に思っておいてくださいね! (2019年2月11日 19時) (レス) id: e1e76f0140 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 次の作品楽しみにしてます (2019年2月11日 18時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:果汁ジノ% | 作成日時:2018年9月8日 7時