孤児院の虎と箱庭の兎

虎と兎３５「ある事」 ページ37

皆さん、明けましておめでとうございます！


文ストのアニメ3期が春から放送開始されると、公式Twitterで告知されてましたね。今年は楽しみが沢山ありますね！

「虎兎」も年明けまでには完結させる予定だったのですが、思ったより長引いてしまいました。

ですが、そろそろ「虎兎」の話も、1つの「転開」へと近付きつつあり、完結も近いです。今年も皆さんの事を思い、頑張って更新していこうと思います！

皆さん、今年も宜しくお願いします！



〜Aside〜

ある行動、といっても大袈裟なものではない。お兄ちゃんと敦さんの服の裾を掴んで、正直にこう言っただけ


A「一人は……怖いから、やだ…」


……と。過保護なお兄ちゃんと、優しい敦君なら嫌がる私を見たら、きっと誰かといさせてくれる


お兄ちゃんは急に真顔になり、″そうだよね。独りは寂しいもんな″と言い出した。敦君も頷いている


見事手のひら返しに成功したわけだが、太宰さんと与謝野さんはこれを狙っていたのか……


他にも方法があっただろうに……とは思うけど、過ぎたことでグチグチ言っていてもいけない。私は言いたい文句を飲み込んだ


＿＿それから、誰が医務室にいるかを決める際、異能無効化の太宰さん、念のために戦闘要員の敦君、私を心配したお兄ちゃんが適切だろうと話は終わろうとしたが、与謝野さんを１人にするのは私の心が痛むので、結局全員が医務室で待機する形となった


最初からこうすれば良かったと、その場の誰もが思った瞬間だった


とはいえ、一人は嫌だと言ったものの、これだけ人が沢山いると意識した上で安眠など出来ず、寝たふりをし、その後も結局殆ど寝ないまま、私は無事に朝を迎えた



敦「あ、お早う」


私が寝たと思っているであろう敦君は″よく眠れた？″と優しくて微笑みながら聞いてくる


心配させる訳にはいかない。何より、今最高に眩しい笑顔で私に話しかけた敦君のその笑顔を崩したくはない＿＿という思いから、私は多少の罪悪感を交えつつ、″うん″と小さく頷いた



そういえば、いつの間にか部屋には私と敦君以外見当たらない


A「皆は…？」


敦「太宰さんと与謝野さんは朝ごはんの買い出しに。お義兄さんは疲れて眠っちゃったみたい」


何から何まで本当に有難い……今日からは私も何かお手伝いしよう


少し先にある椅子には、すやすやと眠るお兄ちゃんが座っていた


私は「ある事」を思いだし、その幸せそうな寝顔に、心が締め付けられた

虎と兎３６「サンドイッチ」※飯テロ回→←虎と兎３４「恐れおののく」

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