虎と兎33「怪談」 ページ35
〜Aside〜
いい方法……与謝野さんはそう言いながら″苦手なものや怖いものはあるかい?″と質問してきた
A「苦手なのは納豆……とか」
納豆。ネバネバ感ではなく、臭いが駄目。害はないとは分かっていても、腐敗したようなあの独特の臭みが苦手
食べ物の好き嫌いは少ないが、納豆だけはどうしても克服できずにいる
それと…怖いものは無い訳ではないのだけど、思い出すのさえ怖くて、普段こういう話はしないようにしている
A「あと……血、とか。こう……グロテスクって言われる類いのものとか。そういうのが…駄目で…」
話すだけでもゾワゾワと体を不快感が襲い、恐怖で肌を震わす
血、と聞けば、お母さんが殺された時、男が兄の体で兄の頸動脈をかき切った時、この2つの流血をどうしても思い出してしまう
他にも……
A「お化けとか、非現実的なものじゃなく、自然災害とか人身事故。回りでいつ起きても可笑しくない殺傷的なものが怖くて……」
私の話を一通り聞いて、″成る程ねェ″と与謝野さんは頷く。太宰さんも与謝野さんの作戦を理解したのか、″だったら…″と考えを巡らせている
与謝野「A、鏡花の事は覚えてるかい?」
鏡花、というのは泉さんの事。最初にあんな強烈的な自己紹介をされたのだから、勿論覚えていないわけがない。私は顎を引き、頷く
太宰「やりすぎは止しましょうね与謝野さん」
眉を八の字に吊らせ、苦笑する太宰さんと″判ってるよ″と荒返事をする与謝野さん。何だか嫌な予感がする……
与謝野「実は治子が来るより前にね、皆で百物語をしてたんだよ」
百物語……百本の蝋燭に火を灯し、話した怪談話の数だけ蝋燭の火を消していくという、一酸化炭素で大変な事になりそうな遊びだが、それが一体解決策とどう関連があるのか……
それでもひしひしと迫る嫌な予感。分からない事とは恐怖であるとは正にこの事だと実感する
与謝野「その時に鏡花がした怪談が可笑しくてねェ。牛肉の筋が固くて、噛み千切ろうと思い切り噛んだら、間違えて舌を噛んじまったとか…」
A「ひぃ…」
それは怪談とは言えないが、それでも背筋が冷たく、ある意味″怖い話″としては成立している
太宰さんは″思い出したくないなぁ″と腕を組ながら呟いていた
与謝野「書類が爪の間に挟まって、そのままピッと引いちまったとか…」
想像すると背筋が凍る様な怪談に身を震わす
よ、夜が怖くなってきてしまった………
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果汁ジノ%(プロフ) - もちさん» ありがとうございます!べた褒め……めちゃくちゃ嬉しいです!新作の方も宜しくお願いしますね!( ´ー`) (2019年2月12日 17時) (レス) id: e1e76f0140 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 初コメ失礼します。果汁ジノ%さんの作品とても好きです!このシリーズ最初から読んでいて、物語の設定や進め方がとても素晴らしいと思いました!イラストも上手で尊敬します!これからも頑張って下さい!! (2019年2月12日 15時) (レス) id: 41bd20641c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 果汁ジノ%さん» (。・_・。)ノ (2019年2月11日 20時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
果汁ジノ%(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!黒の時代の話はすぐに終わると思うので、続編までの息休め程度に思っておいてくださいね! (2019年2月11日 19時) (レス) id: e1e76f0140 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 次の作品楽しみにしてます (2019年2月11日 18時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:果汁ジノ% | 作成日時:2018年9月8日 7時