虎と兎20「三日月にウサギ」 ページ22
〜Aside〜
太宰「敦君には、この書類があるだろう?」
太宰さんは大量の書類を指差した
敦「ええ!?それ、太宰さんのでしょう!?どうして僕が……」
太宰「仕方ないだろう?私はこの書類を明日までに終わらせなければならない。が、どう考えてもこの量の書類は終わらない。
そこで敦君!!君は困っている″上司″の為に、書類を手伝うべきとは思わないかね?」
上司をひどく強調させて説得する太宰さん
悩んだ末に中島さんが折れ、二人で書類を始めたのだった
とはいえ、怪我があった時のために、という事で与謝野さんが社内に残るのは前々から知っていた。けれど中島さんまでいるとは……
驚きの裏に、私は不安を抱えていた
もしも、私の能力の暴走で、誰かに怪我を負わせてしまったら………
異能力無効化の太宰さんがいるとはいえ、私の能力は、何をしでかすか分からない
太宰さんの無効化は、触れれば発動させることが出来る……それはつまり、
裏を返せば、触れなければ発動させることが出来ないということ。
目を閉じると、瞼の裏に浮かんでしまう。″最悪″の想像を……してしまう。
また誰かを……殺してしまったら……
人だけじゃない。探偵社の社内まで滅茶苦茶にしてしまったら……
私の名前を呼んでくれた
私に手を振ってくれた
初めて出来た、家族以外の大切な人達に、もう顔を見せることなんて出来ない
そんなの……
そんなの嫌だ
もっと皆と一緒にいたい
探偵社にいたい___!!
ぎゅっと手を強く握り、閉じていた目を開ける
″A″
誰にも名前なんて呼ばれてない。なのに、私の名前が脳裏に響く
ふと、無意識に窓の外へ視線を向ける
そこには__
*******
〜敦side〜
何で僕が太宰さんの仕事を手伝わなければいけないのかと、ブルーな気持ちで書類を仕上げていく
ふと、窓の外に目をやった
そこには、目を奪われるほど綺麗で、繊細で、何とも形容し難い、とても美しい三日月が輝いていた
都会のヨコハマでは、星などほとんど見えないため、暗い、黒い夜空に、この美しい三日月は、舞台の上に咲く主役のようだ
敦「綺麗だ…」
思わずそう呟いていた
だけど、そんな月に見惚れる僕とは反対に、太宰さんは顔を歪めていた
敦「……太宰さん?」
太宰「与謝野さん、敦君。後ろへ下がって」
そう一言、太宰さんの声が響くと………
そこには、″独り″の″ウサギ″が立っていた
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果汁ジノ%(プロフ) - もちさん» ありがとうございます!べた褒め……めちゃくちゃ嬉しいです!新作の方も宜しくお願いしますね!( ´ー`) (2019年2月12日 17時) (レス) id: e1e76f0140 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 初コメ失礼します。果汁ジノ%さんの作品とても好きです!このシリーズ最初から読んでいて、物語の設定や進め方がとても素晴らしいと思いました!イラストも上手で尊敬します!これからも頑張って下さい!! (2019年2月12日 15時) (レス) id: 41bd20641c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 果汁ジノ%さん» (。・_・。)ノ (2019年2月11日 20時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
果汁ジノ%(プロフ) - りんさん» ありがとうございます!黒の時代の話はすぐに終わると思うので、続編までの息休め程度に思っておいてくださいね! (2019年2月11日 19時) (レス) id: e1e76f0140 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 次の作品楽しみにしてます (2019年2月11日 18時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:果汁ジノ% | 作成日時:2018年9月8日 7時