虎と兎１０「救われていいのなら」 ページ12
〜Aside〜
享受……そんなものわからない
探偵社員になりたいとは思わないし……かといって断れるかと云われると……それもそれで頷けない
気が弱くて流されやすい私だから、どっち付かずになるんだろうけど……
応と答えるか否と答えるか、わからないまま返答に戸惑っていると、それを察したのか、砂色の外套の男性が″まぁまぁ″と割り込んできた
「彼女自身まだ決意はつかないでしょう。異能の件もありますし、ここは″保護″という形を取っておきましょう、社長」
社長さんも彼の意見に納得したのか、少し頷いたあと
「何かあれば、異能を発動して構わん。太宰は常に異能を使うことを考えておくように」
と云い、部屋を出ていった
「そういうわけだから、宜しくね。灰谷Aちゃん」
砂色の外套の人はにこりと微笑みながらそう云ってきたけど、宜しくとはいつまで……
次から次に話の駒が進み、全く理解が追い付かない
でも自分で決めたりするのは無理だし、向こうで決めてくれて良かったとも思う
A「灰谷Aです。迷惑かけると思いますが……お願いします」
最初は恐怖を目に映していた人達も、笑顔で″宜しくお願いしますね″と歓迎してくれた
笑顔で私の名前を呼んでくれる人もいれば、お菓子を渡してくれる人もいる
こんな風に誰かに暖かく迎え入れてもらったことなんてなかったからこそ、この空間が暖かい
A「………ありがとう、ございます」
暖かさは胸に染みて、自然と笑みが溢れていた
少しの間しん……と静まり返った
何かしてしまったかなと不安に煽られるも、笑顔で私に飛び付いてきた一人の女性で、その不安は掻き消された
「今の笑顔最高！！Aちゃん可愛いー！」
ぎゅーっと強く、けれど優しく抱き締めてきたのは、ポニーテールの女性
治子「私、榎本治子！探偵社皆で、Aちゃんのこと助けるから！だからAちゃんはいつもその笑顔を見せてればいいからね！」
明るく、照らされるような眩しい笑顔で、彼女は私を助けると断言した
罪を犯した私は……生きることも罪だと思っていたけど……
A(もしも、私も救われていいのなら……)
幸せを求めても良いのかな…なんて、悲劇のヒロインぶったこと思っちゃって……
治子「よし！じゃあこれからAちゃんに、自己紹介しよう！名前分からないと不便だもん！」
でも探偵社にいると、不思議と大丈夫な気がしてくる
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果汁ジノ％(プロフ) - もちさん» ありがとうございます！べた褒め……めちゃくちゃ嬉しいです！新作の方も宜しくお願いしますね！( ´ー`) (2019年2月12日 17時) (
レス) id: e1e76f0140 (このIDを非表示/違反報告)
もち - 初コメ失礼します。果汁ジノ％さんの作品とても好きです！このシリーズ最初から読んでいて、物語の設定や進め方がとても素晴らしいと思いました！イラストも上手で尊敬します！これからも頑張って下さい！！ (2019年2月12日 15時) (レス) id: 41bd20641c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 果汁ジノ％さん» (。・_・。)ノ (2019年2月11日 20時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
果汁ジノ％(プロフ) - りんさん» ありがとうございます！黒の時代の話はすぐに終わると思うので、続編までの息休め程度に思っておいてくださいね！ (2019年2月11日 19時) (レス) id: e1e76f0140 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 次の作品楽しみにしてます (2019年2月11日 18時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：果汁ジノ％ | 作成日時：2018年9月8日 7時
