例えば、俺みたいな小学生がいるとして。２ (ページ39)

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オレンジジュースを飲み終わった頃に喫茶店を出てすぐの場所で二人きりになった

｢話というのは？｣
｢う、うん。えーっと･･･、｣

静かに問い掛けられて、言葉に詰まった

｢ゆっくりで良いですよ｣
｢･･･ありがと｣

笑った透くんに少し心に余裕が出来た。息を深く吸って吐いた。そして、口を開いた

｢透くん。俺は透くんと友達でいたい｣

秀一に伝えた言葉を透くんにも伝えた

｢友達が嫌ならそれでも良い。だけど、付き合うとか好きとか、俺にはまだ早い気がして、今の俺は友達以上の事を望んでない｣
｢そう、ですか･･･｣
｢うん、ごめん。俺みたいな子供が偉そうに、透くんみたいな素敵な人の誘いを断って｣
｢いえ、｣

謝ると透くんは頭を横に振った

｢大人にもハッキリと言えるAくんも十分、素敵ですよ｣
｢そんな事、無いけど･･･｣
｢そんな事ありますよ。僕はAくんのそういうところに惹かれたんですから。どんなに相手が強くても立ち向かって行く、そんな貴方に｣

俺の頬に触れた透くんが笑って言った。それが妙にくすぐったくて、透くんに向けていた視線を外した

｢もう一つ。Aくんの優しさが僕は大好きなんです｣
｢優しさ？｣
｢そうです。だから、気にしないでください。今まで通り、友達でいましょう｣

そう言ってくれた透くんにホッとした

｢でも友達でいますが、僕は諦めてはいませんからね？｣
｢えっ｣
｢隙あらば、僕だけしか見れないようにするので、覚悟しててくださいよ｣
｢･･･ほどほどにお願いしようかな｣
｢それはどうでしょう？｣

ふふ、と笑った透くんが少し怖かったけれど、これは俺が諦めないといけないような気がして、俺も笑うしか出来なかった

｢ありがと。透くん｣
｢何がですか？｣
｢俺と友達でいてくれて｣

そう言うと透くんは驚いたように目を見開いた

｢そういうところですよ｣
｢透くん？｣

呟くように言った透くんの言葉が聞き取れなくて、透くんの名前を呼んだ

｢何でも無いですよ。さて、今日は何かケーキでも食べて帰ってください。新作のメニューを考えているので｣
｢え、良いの？やったー!!｣
｢甘いもの、本当に好きですね｣

勿論、と返して喫茶店に戻った

そこで、美味しそうなケーキを貰って、幸せだった

秀一と透くんに自分の想いを伝える事が出来て、何もなかった友達に戻る事が出来て、本当に良かった

数日で、俺はいつもの日常を取り戻していた

透くんのいる喫茶店に行き、昴くんと一緒に料理の練習して、秀一とたまに公園で話をする

そんな日常が過ぎていた