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｢おはようございます｣
目を覚ますと前にいた透くんは笑って言った
｢おはよ。早起きだね｣
｢Aくんも。よく眠れましたか？｣
｢うん。寝れた｣
あんな事をされた、言われた後だから、あまり眠れないかと思ったけれど、透くんが傍にいるだけで安心して眠れてしまう
それほどまでに、俺は透くんを信頼しているのだと分かった
｢朝御飯にしましょうか｣
｢そうだね｣
まだ休日では無いので、学校もある。透くんが作ってくれた朝食を美味しくいただいて、学校まで車で送ってもらった
移動中の車内では普通に会話をしていた。まるで、昨日の事が何も無かったかのように。このまま忘れられて、いつもの友達に戻れるんじゃないかって思っていた
｢返事、待ってます｣
｢あ、うん･･･｣
学校の前で別れる際に、透くんからの一言で現実に引き戻された
｢では、また｣
｢･･･またね｣
透くんが去って行き、溜め息が漏れた
｢何か悩み事？｣
｢うわああッ!!?｣
突然、声が隣でして、大きな声が出た
｢あ、哀ちゃんか･･･｣
｢私よ。悪かったわね、驚かせて｣
｢大丈夫･･･｣
哀ちゃんに笑って言い、胸を押さえて、深呼吸をし、うるさい心臓の音を静めた
｢それで何か悩み事？｣
｢ちょっとね｣
再度、問い掛けて来た哀ちゃんに答えた
｢安室とかいう人の事？｣
｢えっ、何で分かったの？｣
｢バカね。さっきの車と貴方の表情を遠くから見てたら分かるわよ｣
｢そ、そっか･･･哀ちゃんは凄いなぁ｣
俺とは大違い、と溢せば、哀ちゃんは顔を覗き込んで来る
｢何があったの？｣
｢えっと、哀ちゃんに言っても良いのかな･･･｣
｢バレなきゃ良いんじゃない？｣
｢適当だなぁ｣
そんな哀ちゃんと絶対に他の人には言わない約束をして、相談に乗ってもらった
｢良い大人が何やってるんだか･･･。でもまぁ分からなくはない、かしら｣
｢なに？｣
哀ちゃんがボソリと言った言葉が上手く聞き取れずに訊いた
｢何でもない。昴さんにも相談してみたらどう？｣
｢そっか。そう言う手もあるのか｣
大人の昴くんなら何か力になってくれるかもしれない
｢ありがと、哀ちゃん。今日、相談してみるよ｣
｢そうしなさい｣
｢哀ちゃんに話して良かった｣
｢そう。それじゃ、さっさと校舎に入りましょ｣
そう言って先を歩いた哀ちゃんを追い掛けて、校舎の中に入った
ぼんやりと学校を終えて、昴くんの家を目指した。インターホンを押すとすぐに出て来てくれて、相談したい事があるのだと言って、中に入れてもらった
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作者名：空白可能
| 作成日時：2019年10月14日 20時
