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「なるほどね・・・」
「うん・・・。俺は恋人が何かも分からないから、どういうのか知りたい」


そう言うと母さんはテレビを消して、隣に座るようにとソファを叩いた


「まず恋人関係になった時の事に関して私の事は参考にもならないから、後で自分で調べなさい」
「え、あ、うん・・・分かった」
「それじゃあ、恋人っていうのは好きな人同士がなるっていうのは知ってるわよね?」


母さんの質問に頷いて返した


「そして、好きな人っていうのは、相手の事を他の何にも代えられない程で、他の誰よりもその人とずっと一緒にいたいっていう気持ちが強い人だったりするのね」
「・・・一緒にいたい、か」
「その通り。もっと触れたいって思ったりもするし、自分の事をもっと見てほしいって思う事もあるの」


考えた事も無かった

でも、母さんに言われて改めて、二人の事を考えてみた

透くんに拒絶された時、酷く心が痛んだ。それは、普通の友達だったら、そんな風に思う事は無かった。前の席の奴がそうだった。涙が出るほど哀しくなったり、心が痛くなったりはしなかった

透くんがもう一度を望んでくれた時、心の底から喜んだ。また一緒にいられる事が本当に嬉しかった

秀一には、三回ほどしか会っていないから、よくは分からないけど、惹き付けられる何かがあった

初めて会った時、敵だと思っていたけれど、本当は良い人だった

俺が将来の事で悩んでいた時に、いつも答えやヒントをくれたのは秀一だった。警察官になりたいと話した時、警察官になれなくなって、落ち込んでいた時、秀一はいつも俺の背中を押してくれた

それは誰よりも頼りになって、俺の中で確かな存在だった


「・・・難しい」
「じゃあ、その二人の事を思いながらもう一度会ってみたらどう?一度、思い返してみてから会うと心は正直になるものよ」
「そうかな?」
「ええ。試しに二人とキスする事を想像してみなさいよ」


母さんに言われて、ドラマのワンシーンを思い浮かべた。それを透くんや秀一、自分に置き換えて想像してみた

俺と、あの二人が、ボーッと考えてみたけれど、顔が熱くなって行くのが分かった


「思い浮かべた事が気持ち悪いって思わないなら、それが答えよ」


透くんにキスをされた時、嫌では無かった。どちらかと言えば、驚きと恥ずかしさがあって、突き飛ばしてしまった


「後はA次第よ。誰とどうなりたいのかは、Aが決めなさい」
「・・・分かった」
「調べるならパソコン、持って行きなさい」


頷いて返し、母さんからパソコンを受け取り、自室に戻った

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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年10月14日 20時

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