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「・・・半年も経たない内に、Aくんの体はボロボロで、僕は自分が情けないです」
「どうして?透くんにはどうしようも無い事じゃない?」
そう言ったけれど、透くんの暗い表情は晴れなかった
「まぁ良いや。いただきます」
「はい」
手を合わせて、透くんの用意してくれた朝御飯を食べた。それは見た目以上に美味しくて、家で母さんが作ってくれるものとは別の美味しさがあった
「美味しい」
「それは良かったです」
「でも、ゆっくり食べてる暇は無いんだよね・・・一回、帰らないといけないから・・・」
「ああ、それなら朝早くにAくんのお母さんが来て、ランドセルと着替えを持って来てくれましたよ」
透くんはそう言って玄関の所に歩いて行った。それを目で追うと、確かに俺のランドセルと紙袋が置かれていた
「お風呂に入ってから着替えましょうか」
「分かったー」
朝御飯を食べ終えて、お風呂を借りた
「透くん、何から何まで、ありがと」
「これぐらいは当然です。学校に行きましょうか」
「うん」
透くんに車で学校まで送ってもらい、そこで別れた
「あ、華澄くん」
「お、江戸川。おはよ」
「おはよう。今のって安室さん?」
「そうそう。昨日、透くんの家で寝ちゃってさ」
校門前で会った江戸川に昨日の事を少し話した
「・・・そっか。それにしても、華澄くんの怪我ってそこまで酷かったんだ」
「俺が退院する前から哀ちゃんから聞いてない?」
「聞いてないよ。アイツは自分の事をあまり話さないし、病院にも来るなって言われてたから。先生に訊いても意味無かったし」
江戸川は何度か先生に俺の事を訊いたみたいだが、何も話してくれなかったという。それに関しては哀ちゃんも話していた
哀ちゃんの言っていた通り、学校で俺の事は噂にもなっていなくて、ただの家の事情として扱われていて、ニュースにも、新聞を読んでみても俺の事は一切として書かれていなかった
そのお陰で、その時の事を訊かれなくて済んだのだが、何故だかは気になった。今まで、自分の事しか考えていなかったけれど、解決してから周りの事が気になり始めた
「あの現場の向かったのは灰原と昴さんだけだったから誰も詳しくは知らないんだ」
「そうなんだ」
「一応、灰原の後を追い掛けて病院に行ったけど、特定の人しか会えないって言われて、会えなかったし」
「来てくれてたんだ」
知らなかった
特定の内に昴くんと哀ちゃんが入っていた事に驚いた。あと、透くんも入っていた
特定の人、それは誰が決めた事だったのだろうか
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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年10月14日 20時