10 ページ10
「すみません、
「あ、安室さん!!?」
高木刑事は驚いていたが、それを気にする事もなく、杜若さんからの返事を待った
「良いぜ。でも、俺じゃなくて、俺の知り合いに飯でも奢ってくれ」
「お知り合いで良いんですね?」
「俺は忙しいからな。ちょっと待ってろ」
無職なのに忙しい事があるか、そう思ったが口には出さなかった
杜若さんはスウェットのポケットから何かの紙を取り出して、服の首元に付けているペンを手にし、紙に何かを書いた
「これ、相手の携帯の番号だ。相手には俺から言っとく」
差し出された紙を受け取る。そこには、確かに番号が書かれていた。そこに電話を書けるように言われた
「分かりました」
「じゃあ、そういう事だから」
杜若さんは笑い、去って行った
「す、すみません、安室さん。僕のせいで・・・」
「いえ、ああいうのは、向こうの要求を呑んだ方が早いので」
「しかしっ、か、代わりますよ!!」
「代わってしまったら、面倒になるので大丈夫ですよ」
高木刑事を言いくるめて、一人になったタイミングで受け取った紙を取り出し、番号の書かれている面とは逆の面を見た
小さな紙は、名刺になっていて、会社名と電話番号、ファックス、代表取締役の名前が記載されていた
「杜若
代表取締役の名前にはそう書かれていた
杜若、という事は、あの杜若 Aという人も、親が金持ちの息子といった感じだろう。それなら、あの横柄な態度も頷ける
そこまで考えて、名刺の裏に書かれている番号に掛けてみる事にした
数コールの後、相手が電話に出た
『もしもし?』
どこかで聞いた事のある声が携帯越しに聞こえた
「すみません、杜若さんとの約束でお電話させていただいたのですが・・・」
用件を簡潔に伝える
『あ、そうでしたか!!えーっと、』
「申し遅れました。安室 透と言います」
『安室さん!!?あ、僕です!!僕です!!
「ポアロの常連の望仙さんですか?」
『そうです!!』
驚いた。関わり合いのなさそうな二人が知り合いで、その知り合いの電話番号となるものが、あの望仙 明光のものになるとは
縁とは謎が多い
『アイツめぇ、もう少し教えてくれても良かったのに』
「多くは聞いていなかったんですか?」
『そうですね。詫びを受け取って来いとだけ言われて・・・。すみません、うちのバカが迷惑をかけて、イタッ』
話が途中で途切れて、望仙さんの声が近くなった
32人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:空白可能 | 作成日時:2023年3月27日 23時