検索窓
今日:24 hit、昨日:25 hit、合計:7,828 hit

10 ページ10

「すみません、杜若(かきつばた)さん。今度、僕がお詫びするので、見逃してもらえませんか?」
「あ、安室さん!!?」


高木刑事は驚いていたが、それを気にする事もなく、杜若さんからの返事を待った


「良いぜ。でも、俺じゃなくて、俺の知り合いに飯でも奢ってくれ」
「お知り合いで良いんですね?」
「俺は忙しいからな。ちょっと待ってろ」


無職なのに忙しい事があるか、そう思ったが口には出さなかった

杜若さんはスウェットのポケットから何かの紙を取り出して、服の首元に付けているペンを手にし、紙に何かを書いた


「これ、相手の携帯の番号だ。相手には俺から言っとく」


差し出された紙を受け取る。そこには、確かに番号が書かれていた。そこに電話を書けるように言われた


「分かりました」
「じゃあ、そういう事だから」


杜若さんは笑い、去って行った


「す、すみません、安室さん。僕のせいで・・・」
「いえ、ああいうのは、向こうの要求を呑んだ方が早いので」
「しかしっ、か、代わりますよ!!」
「代わってしまったら、面倒になるので大丈夫ですよ」


高木刑事を言いくるめて、一人になったタイミングで受け取った紙を取り出し、番号の書かれている面とは逆の面を見た

小さな紙は、名刺になっていて、会社名と電話番号、ファックス、代表取締役の名前が記載されていた


「杜若 研二(けんじ)・・・」


代表取締役の名前にはそう書かれていた

杜若、という事は、あの杜若 Aという人も、親が金持ちの息子といった感じだろう。それなら、あの横柄な態度も頷ける

そこまで考えて、名刺の裏に書かれている番号に掛けてみる事にした

数コールの後、相手が電話に出た


『もしもし?』


どこかで聞いた事のある声が携帯越しに聞こえた


「すみません、杜若さんとの約束でお電話させていただいたのですが・・・」


用件を簡潔に伝える


『あ、そうでしたか!!えーっと、』
「申し遅れました。安室 透と言います」
『安室さん!!?あ、僕です!!僕です!!望仙(もうせん) 明光(あけみつ)です!!』
「ポアロの常連の望仙さんですか?」
『そうです!!』


驚いた。関わり合いのなさそうな二人が知り合いで、その知り合いの電話番号となるものが、あの望仙 明光のものになるとは

縁とは謎が多い


『アイツめぇ、もう少し教えてくれても良かったのに』
「多くは聞いていなかったんですか?」
『そうですね。詫びを受け取って来いとだけ言われて・・・。すみません、うちのバカが迷惑をかけて、イタッ』


話が途中で途切れて、望仙さんの声が近くなった

11→←9



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (15 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
32人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空白可能 | 作成日時:2023年3月27日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。