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｢それと、店で働いてる従業員は、被害者の持参した飲みものを落として、怒られていた。それに、被害者はこの店で嫌われ者だ｣
｢嫌われ者、という事は貴方も嫌っていたのでは？｣
｢俺とあのおっさんは仲良かったよ。当たってる台を五万で交代してやったからな。俺にも急用があって、丁度良かったし｣
それ以来、被害者の男性とは仲が良いという話だ。杜若さんの話し方からして、嘘を言っている気配もしない
こんな事で嘘を吐くのも馬鹿げた話だと言わんばかりの言いぐさでもあった。嘘を吐く利益もないだろうし、ともなれば、杜若さんは犯人の候補から外れる事になる
｢吸い過ぎですよ｣
｢知るか｣
二本目を吸おうとしている杜若さんに言ったが、相手にされず、火を点けてしまった
｢タバコ、お好きなんですか？｣
｢別に｣
｢じゃあ、何で吸うんですか？｣
｢何で教えなきゃいけないんだ？そこまで知らない相手の趣味を否定するのは好ましくないな｣
｢すみません｣
淡々と答えられながら会話をする。横顔を眺めながら訊いていたのだが、ふと気が付いた事があった
｢それって、ダテ眼鏡なんですか？｣
｢そうだな。レンズも入ってるのに良く分かったな｣
｢あ、いえ、僕も掛けていた時があったので｣
｢ふーん･･･。ま、何でも良いけど｣
興味なさげに、タバコを吸い続けている
同じ名前を持っていても、これほどまでに違うとは。どうも、Aという名前だけで、彼と比べてしまう
｢さてと、戻るか･･･｣
二本目のタバコを吸い終わった杜若さんが、仕方がないと言うように喫煙所から出てくれた
｢戻りました｣
｢安室の兄ちゃん｣
｢ん？｣
皆が待っている場所に戻るとコナンくんに呼ばれて、しゃがんでコナンくんの話を聞いた
｢杜若さん、何か言ってた？｣
｢ああ、うん。一応ね｣
コナンくんにある程度の事を話した
｢となると･･･｣
ブツブツとコナンくんは何かを考え込んでいた。その様子を眺めつつ、自分もこの事件の全容を考えた
杜若さんは容疑者から外れるとして、怪しいのは杜若さんが言っていた従業員を含めた三人。現場の状況などを考慮して、今回の事件を組み立てて行けば、自ずと答えは導かれる
｢犯人は、北崎さん、そして、従業員の貴女だ｣
急な眠りについた毛利先生が事件を解決し、事なきを得た
結局、杜若さんは関係なかった事で、事件後にブツブツと文句を言っていた。それに平謝りを繰り返す高木刑事の所に向かった
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作者名：空白可能
| 作成日時：2023年3月27日 23時
