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｢あ、そうだ。僕の事は
思い出したように男性は言った
｢分かりました｣
これからは定期的に顔を合わせるのだから、話は合わせておいた方が都合が良い
｢ん、そろそろ帰らないと｣
携帯の時計を見た望仙さんは、大きな口を開けてケーキを頬張った。口一杯に頬張りながら、そしゃくしている姿は、ハムスターやリスを彷彿とさせる
｢ご馳走様でした!!｣
｢お会計ですか？｣
｢お願いします｣
ささっと会計を済ませて、望仙さんは退店した。その後の客足は少なく、梓さんに数分の時間を貰って、携帯を確認する
携帯には、Aに出しておいたメールの返信が届いていた。それに返信をして、仕事に戻った。何事もなく、仕事を終えて、自宅に帰った
玄関のドアには鍵が掛かっていて、鍵を開けて中に入る。中は暗く、誰もいないらしい。当たり前と言えば当たり前だ
今日は彼の日なのだから、いつ帰って来るかは分からない。そう思っていると、インターホンが鳴った
｢はーいって、Aか｣
インターホンを鳴らしたのは、Aだった
｢あ、透くん!!帰ってたんだ!!俺の方が早いかと思ってたのにー｣
｢まぁな。さ、冷えない内に入れよ｣
｢俺の部屋だぞー？｣
｢知ってるよ｣
そう、ここは彼の名義で借りているアパートの一室だった。協力してほしいと頼むと、何も訊かず、ただただ頷いて言う通りにしてくれた
彼が部屋に入り、僕の前を横切った時、ふわりと何かが臭った
｢･･･お前、今日どこにいた？｣
｢んー？どうして？｣
｢いや、何か、タバコの臭いが･･･｣
｢あー、何かタバコ吸ってる人はいたかも｣
ショッピングモールに出掛けた彼は、外にある喫煙所の横を通ったかもしれないと話した。基本的に彼はボーッとしているので、あり得ない話ではない
それにタバコやお酒、そういった事にも無頓着だ
｢お風呂入って来る｣
｢僕も行くよ｣
｢うん｣
泡風呂をしたいと彼が所望したので、急遽、泡風呂を作った。子どものようにはしゃぐ彼を眺めながら、風呂に入っていた
彼はアイツがいなくなってから、子どもっぽさが増していた。昔から子どもっぽい部分もあったけれど、今の彼はもっと子どもっぽい
精神が崩壊した事もあって、子どもっぽい部分が強くなってしまったと考えられる
｢透くん？｣
｢どうした？｣
｢透くん、ボーッとしてたから気になったの｣
｢そっか、悪い。大丈夫だよ｣
｢それなら良いんだけど｣
視線を落とした彼は、泡を両手ですくって息を吹き掛けて遊んでいた
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作者名：空白可能
| 作成日時：2023年3月27日 23時
