46 ページ46
｢うん、そう。俺の友達も一緒に｣
携帯で兄と話している彼に、友達と紹介されてしまい、少し残念に思う。それは仕方がない。今の彼は、僕の恋人ではないのだから
｢･･･今の彼は、恋人ではない･･･？｣
自分の思った事に疑問が生じた
｢零くん？｣
｢いや･･･、何でもない｣
電話を終えていた彼の声に我に返り、首を振って答える
｢そう？あ、お兄ちゃん、会ってくれるってさ。明後日にいつもの場所にいつもの時間って言われたんだけど、予定は空いてる？｣
｢ああ、大丈夫だよ｣
予定は多少あったけれど、今の優先順位は彼の兄に会う事だった。何かどこかに感じている引っ掛かりも、取れるような気がした
｢A、ちょっとだけ、しないか？｣
｢･･･ちょっとだけで良いの？｣
｢いっぱいしたい｣
｢俺も｣
彼の事を労っての事だったのだが、それ以上を彼から望んでくれたのだから、それに応える事にした
行為を終えた後は、まったりとした時間を過ごす。Aはぐっすりと眠っていて、その寝顔を見つめているだけで、仕事の疲れが癒されていく。だがしかし、いつまでも寝顔を見つめている訳にもいかないので、自分も眠りについた
｢さて、集合場所はどこだ？｣
約束の日になって、出掛ける準備をしながらAに訊いた
｢えーとね、いつも公園で会ってるんだ。お昼前に会って、お昼になったら解散するの｣
｢ふーん･･･。どうして、今まで黙ってた？｣
｢だって、お兄ちゃん、格好良くて、頭も良くて、強くて、きっと零くんと話が合って、･･･僕は、一人になるのが、怖かった｣
自分の兄を尊敬して好きではいるが、それとは逆に畏怖の感情までも持っている。彼が言うには、彼と兄は全く正反対の存在らしい
｢一人にしないって言っただろ。もう、安心してくれよ｣
｢うん。絶対だよ｣
｢約束だ｣
指切りをして、約束をした。これで安心してくれるのなら、何度だってしても良い
｢あ!!やば、もう時間だ!!早く行かないと!!｣
｢少し急ごう｣
｢うんっ｣
集合時間が迫っていたので、急いで集合場所の公園に向かった。向かった公園は完全に寂れていて、誰もいなかった
｢あれ、いつもは十分前にはいるのにな･･･｣
誰もいない公園に、当たり前だがAの兄の姿もなかった
｢･･･来ないな｣
｢うん･･･。どうしたんだろ･･･｣
集合時間になっても、時間が過ぎても、彼の兄が姿を現す事はなかった
Aはかなり不安そうな表情を浮かべながら、時計と公園の入口を何度も見ていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空白可能
| 作成日時：2023年3月27日 23時
