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｢まぁ毎日抱きたいんですけどね｣
｢お前はおかしい｣
｢それはどうも｣
｢褒めてねぇから｣
なんとも言えない会話をしながら、向かいに座って食事をする彼を見守る
｢そう言えば、寝る前の話の続きをしても良いですか？｣
｢好きにすれば？｣
｢では、さてもらいますね。･･･貴方はどうして、僕達の前に現れたんですか？色々な姿をして、犯罪に手を染め、時には一般人を装ってまで｣
それが分からなかった
本来の彼は僕達に関わる事はなく、そのままの存在で生きていけたはずだ。それはせずに、
そして、友人達の命を救いあげたのみならず、生きていく術を失った皆に手を差し伸べて、生きていける道を示した。それが僕だけではなく、赤井に関してもそうだ
FBIに協力し、組織にも入り込んで、宮野 明美を救った
｢･･･小学生の頃さ、何かぼんやり生きてたんだよ。何をやっても楽しくないし、好きな事も見つからないし、嫌いなものも特になくて、ほんとぼんやり生きてたんだよ｣
僕の質問に答える訳でもなく、彼は昔話を始めた。ご飯を食べる手は止めていない為、話はマチマチに進んでいく
｢何もない毎日を過ごしていた時に、変な奴を見つけたんだよ｣
｢変な奴？｣
｢そう、変な奴。ソイツを見つけた瞬間に、暇潰しが出来るって思った。その日から毎日が変わった｣
僕の質問には特に答える様子は窺えず、話は進んでいった
｢俺に好奇心が生まれたんだ。俺はソイツの為にじゃなくて、その好奇心を満たす為に、犯罪者になった｣
｢その好奇心は、満たされましたか？｣
｢そうだな。満たされたよ。満たされたから、あの最後を望んだのに、お前が台無しにした｣
｢それはどうもすみません｣
大して謝るつもりもない事がバレたのか、彼に睨まれてしまった。特に怖くはないのだけれど
｢変な奴という方のお名前は？｣
｢降谷 零っていう奴｣
｢は、｣
さらっと告げられた名前には驚いた
｢ど、どうして、僕に･･･？｣
｢そこにお前がいたから。お前の存在自体が好奇心の塊だった｣
｢･･･それは僕が珍しい子どもだったからですか？｣
｢まぁ珍しくはあったかな。別に差別的な意味じゃない。何もないと思ってた世界に、綺麗な花があったら珍しく思うのと同じだよ｣
馬鹿にするような感情は一切ないと言うように、彼は綺麗な花に例えた。それは何だかむず痒くなるようなものだった
｢それに、差別的な意味だとしたら、俺にも当てはまる｣
そう言って彼は目の中に指を入れて、何かを取り外した
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作者名：空白可能
| 作成日時：2023年3月27日 23時
