37 ページ37
｢お前が
この人は、自分の終わり、罪と共にこの世から消えるつもりだった。それは僕が、あのまま
いち犯罪者としての終焉を迎える事が、納得は出来なくとも、友人達の妥協点だったのだろうと思った
｢･･･さ、どうする？｣
｢そう、言われても･･･｣
この人は、僕達の恩人だ。このままで良いのか、そう考えてしまう。だが、この人や友人達が望んだ最後であれば、それを全うさせる義務が僕にも生じる
｢お前が見なかった事にすれば、全てがお前の良いように終わる。それで満足だろ？･･･そうだよなぁ？零くん｣
低く艶やかな声が、思考する僕の脳を洗い流すように囁いた。それから顔を逸らして、目を閉じる
｢君の好きな僕が望んだ、最後なんだよ｣
目を閉じると聞こえて来る愛しい声。その声が更に僕の思考を奪い去ろうとする
｢ねぇ、零くん。良いでしょ？最後のお願いぐらい、聞いてくれるよね？嘘吐きの零くん｣
そう言われた瞬間に、僕の何かが壊れた気がした
｢零くん？ん･･･っ｣
僕の名前を呼んだ彼に口付けた。手錠で手が塞がっている彼は、抵抗する事が出来ない。彼の頬を両手で掴んで、深く長く口付ける
彼の口から甘い声と共に唾液が漏れ出して来る。彼の口から自分の舌を引き抜いた
｢っは、んん･･･、｣
息をしようとする彼にもう一度キスをする。彼は立っていられなくなったのか、座り込んでしまった
｢はぁっ、はぁ･･･っな、に、すんだよ･･･｣
｢･･･何、でしょうね。もう、僕も、何が何だか分からなくなって来ました。貴方の願いを聞きたい自分もいれば、このままにしておきたくない自分もいます｣
座り込んだ彼と目を合わせるようにしゃがみ込んで、呼吸を荒くする彼の質問に答える
｢僕は、どうしたいんでしょうか？｣
｢しる、か･･･自分で、かんがえろ･･･｣
｢そうします｣
｢なっ、お前っ｣
座り込んだ彼を押し倒した。流石に抵抗を始める彼だが、手錠のかかった手では何も出来ない。そんな彼を僕は襲った。それは、彼が望んだ事ではなかったのか、涙を流し拒絶の言葉を吐き出していた
どれだけ彼を滅茶苦茶にしても、彼は犯罪者でほとんど人権がない。元々死んで終わろうとしていたのだから、何をしても良いだろう
別にそんな事でもないだろうけれど
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空白可能
| 作成日時：2023年3月27日 23時
