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｢･･･貴方の本当の顔はそれなんですか？｣
｢気になるの、それ？｣
｢答えてください｣
｢気になるのなら、調べてみたら？｣
手錠をかけたままなのだから調べられる。抵抗をする素振りも見せないので、
Aと比べる事はなかったけれど、今思えば、Aとこの人は大体同じ身長だ。それだけの事なのに、何故か無駄な説得力がある
そんな彼の頬に触れて、その手を首に落とした。軽く触っただけでは、何も分からなかった。首筋に爪を立てる。かなりの力を込めると、皮膚に違和感が現れた
それに爪を引っ掻けて、引っ張ると何かが剥がれた。少しだけ剥がれたそれを彼の顔から引き剥がした
｢あ、なたは･･･｣
引き剥がした下から現れた顔に見覚えがあった
｢
｢当たり｣
一度だけしか会っていないが、印象に残る人物だった事と友人達を救ってくれた事があって、杜若さんはよく覚えていた
｢俺を捕まえるか？警察官殿｣
｢そ、それは･･･｣
今更な話だが、個人的な理由で犯罪者を逃す訳にもいかない。Aと壱望が同一人物で、杜若も同一人物、今まで関わって来た人物が全て繋がった
そこで一つの可能性が沸き上がった
｢･･･
｢よく分かったな。ご明察通り、俺は望仙 明光だった時もあった。ついでに言うと、随分前に殺された有力者がいただろ？あれ、やったのも俺な｣
｢なっ｣
有力者暗殺の重要参考人である、行方不明の秘書までもが杜若 Aの化けた姿だった。最近に起きた事件、関わった人達、そのほぼ全てに、杜若 Aが関わっていた
あの頃から、この未来が決まっていたとでも言うのか？そんな事、認めたくなかった
｢可哀想にな。信じてた奴が存在しない挙げ句、ソイツがこんな犯罪者だったなんてな｣
本当にその通りだ
でも、それを責められる自分もいなかった
僕を信じていた人はこんな気持ちだったのだろう。信じていた人間が存在しない人間で、嘘吐きな奴だったのだから
｢ま、何にせよ、俺を告発してもらっても構わないが、告発した後、お前のお友達がどうなるか、よく考えてから行動するんだな｣
｢ぁ･･･｣
そうだ。もはや、この人だけの人生ではない。この人は、僕の友人達の人生を掌握していた。僕が選択を間違えると、この人だけではなく、自分の友人達の人生も棒に振る可能性があった
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作者名：空白可能
| 作成日時：2023年3月27日 23時
