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｢･･･お願いだ。Aの居場所を教えてくれ｣
取調室に呼んだ
数日、数週間と経っても何の情報も得られなかった。頼れる宛は壱望 明光ただ一人となっていた
｢俺にメリットは？｣
｢･･･ない｣
｢無理｣
頭を下げたところで、この男が動かないのも分かっていた。上に交渉しても、たった一人の遺体を探す為に凶悪犯の罪を軽くする事なんて出来なかった
｢何でそんなに執着する訳？｣
｢僕は、アイツを裏切った。それは間違いない。だけど、今も見知らぬ所に一人でいるアイツを僕のもとに連れ戻したい｣
壱望 明光の質問に答えた
Aは寂しがり屋だった。だから、無縁墓地にいるのなら、僕が弔える場所に迎え入れたかった。それがAへの贖罪になれば良かった
｢じゃあ、土下座して？｣
｢は、｣
｢俺が案内してやるから、お願いしますって｣
｢それは、貴方を信じて、外に連れて行けと言う事ですか？｣
｢そういう事。どうする？｣
嘲笑うように僕を見る壱望 明光を見下ろした
｢･･･少し待っていてください｣
｢諦めるか？｣
｢違います。貴方を連れ出す許可を貰いに行くんです。勿論、許可が貰えなくとも、貴方を連れ出しはしますけど｣
この際、自分が警察を辞める事になろうが、罪に問われようが関係なかった。僕は僕の判断で、この人を連れ出す
ただそれだけだ
案の定、許可は貰えなかったけれど
｢許可が貰えなかったのなら、諦めろよ｣
｢嫌です。貴方は僕が土下座すれば、Aのもとに連れて行ってくれると約束出来ますか？｣
｢さぁどうだろうな｣
｢訊いた僕が馬鹿でした｣
しかしながら、Aの為に頭を下げるぐらい、なんとも思わなかった。こんな安っぽいプライドを捨てて、Aの情報に辿り着けるのなら、なんて事はない
壱望 明光の横に立っていた自分は、膝を折って正座をして、頭を床につけた
｢お願いします。Aの、
｢っは、マジですんのな。滑稽だわ｣
上から降って来る罵倒の言葉も気にせず、頭を下げ続けた
下げている頭に何かが乗った。恐らく、壱望 明光の足だろう。踏みにじるように、頭を押さえつけられているのが分かる
その足が、僕の顔まで下りて来て、僕の顔を上げさせる。顔を上げると、無表情でこちらを見下ろす壱望 明光と目が合った
｢本当、馬鹿だと思うわ。あんなちっぽけな人間の為に頭を下げるなんてな｣
｢何とでも言ってください｣
Aを見つけられるのなら何でもする
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作者名：空白可能
| 作成日時：2023年3月27日 23時
