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『
それをクリックして、映像を確認した
再生された映像には、両手足を椅子に拘束されたAの姿があった。力なく頭を垂れて、気を失っている様子なのが見て取れる
そして、画面が揺れたかと思うと、
『ちゃんと撮れてんな。一日目、撮影開始』
音声が聞こえ、一日目が告げられた
『起きろ』
『ぅ・・・』
バケツに入った水を掛けられたAは、呻きながら目を覚ました
『あ、なたは、』
『俺は壱望 明光。お前の恋人の知り合いだよ』
『とお、るくんの・・・』
『そう。透くんの』
嘘は言っていないが、これ以上の事は望んでいなかった。早く終わってくれ、そう願いながら、映像の続きを見た
『なにする、の・・・?』
『何すると思う?』
『わか、らない、・・・でも、透くんが、助けて、くれる、もん・・・』
『無理だよ。アイツは浮気してるから』
壱望 明光の言葉にAが顔を上げた。信じられないという顔をしていた。当たり前のようにそんな事実もない
『う、嘘だ!!透くんはそんな事しない!!』
『してるよ。お前、最後に抱かれたの、いつ?』
『そ、れは、』
問われた事に対してAは答えられなかった。それもそうだ。僕がAとの体の関係を断っていたのだから
『れ、いくんは、僕を、ひとりにしない、って言った・・・!!』
『アイツ、嘘の塊だろ。よくそんな奴を信じられるな』
『そ、そんな事ない!!僕は、零くんを昔から知ってるもん!!』
『じゃあ、その零くんは、お前に何を教えてくれる?』
Aが言い返しても、壱望 明光は間髪入れずに切り返して来る。押しが弱いAは段々と威勢を失っていき、泣きそうな声を漏らしていた
『そういや、こんな写真もあったな』
何かの写真を見せられたのか、Aは大きく目を見開いた
『れい、くん、なんで、なんで、ぼく・・・ずっと、しんじて・・・』
『信じて来たのにな。可哀想に』
壱望 明光はひどく落ち着いた声色で言った。そして、Aに近付き、頬に触れて顔を上げさせた
『俺なら、お前を一人にしない』
『・・・うそだ。おまえも、うそつきなんだ』
壊れたようにAは呟く
『いいや、俺は嘘は吐かないよ。だって、お前が先にいなくなるんだからな』
『ぼくが・・・?』
『そう。愛し合った後、俺が殺してやるよ。ゆっくり、ゆっくりな。それを俺が見といてやる』
壱望 明光はAの目を見つめて、ゆっくりと言い聞かせるように言った
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作者名:空白可能 | 作成日時:2023年3月27日 23時