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｢ぅ･･･？｣
｢まだ寝てて良いよ｣
僕が体を起こした事で目を覚ました彼に告げる。彼は布団を抱き締めながら、再び眠りに落ちた
朝食が出来る少し前に彼を起こして、顔と口を洗ってもらってから、椅子に座らせた。顔を洗っても寝ぼけている彼の髪を櫛で整え、やっとの事で頭が冴えた彼の前に朝食を並べた
｢いただきます｣
｢召し上がれ。いただきます｣
手を合わせて、朝食を食べる
｢美味しい｣
｢ありがとう｣
彼はいつも僕の料理を褒めてくれる。それはきっと、彼の恋人だったアイツが、僕に料理を教えてくれたからだろうけれど
彼の恋人は、僕の友人達だった
最初は萩原、次に松田、その次がアイツ、ヒロだった
最初こそ、萩原が彼を好きになる理由が分からなかったけれど、彼の優しいところや控えめな笑顔に惹かれたんだと萩原本人に聞いた
僕達が警察学校に通っている時期に、彼を皆に紹介した。だから、友人の一人として、褒められて嬉しく感じた
萩原が殉職した後、僕達から見ても、呆れるぐらい愛し合っていた彼は、毎日泣き続けていて目を腫らしていた。それを松田が傍にいて支えていた
その結果、松田と恋人関係になった。そして、数年後、松田も大勢の命と引き換えに殉職。再び、彼は地獄に突き落とされた
その後、ヒロと僕、伊達班長で支えていたのだが、ヒロと彼が恋人関係にもつれ込んだ。彼は嫌がっていたが、変なところが振り切れているヒロは、彼と関係を持った
結果、ヒロは亡くなった
そして、彼は壊れた
班長と班長の恋人が亡くなった事も、彼を苦しめる要因となった
｢透くんはこれから？｣
｢僕は行き詰まってる事件の捜査だな。Aは？｣
｢今日は俺の日だから、のんびりしようかなって思ってる｣
｢そうか。気を付けてな｣
彼は、週に一度は必ず自分の日を設けている。それは死ぬ以外の事を彼が自由にする時間だ。彼の日だと告げられれば、彼が夜まで帰って来なくとも安心が出来た
それ以外で、夜まで帰って来ないと焦る
そこで決めたのが、彼の日を作る事だった
｢あ、それと、暫くは忙しくなってしまうんだ。頻繁に家に帰れないと思う。大丈夫そうか？｣
｢うん。俺の日が沢山出来るって事で良い？｣
｢ああ、それで良い｣
｢でも、帰って来るなら言ってね。会いたいから｣
｢分かった｣
帰って来る時は連絡を入れるという約束をして、彼がいなくならないように縛り付けた
それから、数日、あの妙な事件は未解決のまま僕は捜査から外れ、とある場所に探りを入れる事となった
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作者名：空白可能
| 作成日時：2023年3月27日 23時
