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「見えない力が働いてる、そんな感じがしたな」


伊達班長が柄にもない事を言う。しかしながら、萩原と松田までもが何故か死亡扱いになっていた。加えて、班長は恋人であるナタリーさんまでもが、死亡扱いになっている事を話した

とどのつまり、班長の言っている事は正しい

その証明は、僕の友人達だけはない

宮野 明美もその一人だ


「あの、お話し中、すみません。宮野 明美さんに訊きたい事があって・・・」


話をしている赤井と宮野姉妹に声を掛けた


「ああ、彼女は、望仙(もうせん) 明光(あけみつ)、彼に助けられたそうだ。そして、死亡扱いとなった」


僕の訊きたい事を察して、赤井が答えた


「望仙、さんに・・・」
「そのようだ。全く、どいつもこいつも勝手な事ばかりで、重たいものだな」


困り果てたように笑い、諦めたような言いぐさをする


「・・・すみません、僕のせいです。全部全部。僕のせいです。貴方は、ずっと僕を守ってくださったのに、恩を仇で返しました」


望仙さんの事も、ヒロの事も全て僕が原因だ

全てが終わった頃、ヒロが亡くなった経緯は聞いていた。それでも、自分が生きようと立っていられたのは、恋人であるAが、どこかで生きている、助けを待っていると思っているからだった


「良いんだ、君は悪くないよ。結果はどうあれ、こうやって生きている人がいるんだからな。今は君の恋人を探そう」
「・・・はい。ありがとうございます」


僕は本当に多くの人に囲まれて生きている。優しい人ばかりが僕の周りに集まってくれる。そして、全員がどこか遠い所に行ってしまう

それでも、皆はここに存在していた


「そう言えば、杜若(かきつばた) Aさんは?」
「アイツはもういねぇよ。事故って死んだ」
「え・・・」


全ての元凶と言っても良いような杜若さんは、もうこの世にはいないと聞かされた。話によれば、日課のパチスロをやった後の帰り道で、信号無視の車にはねられて、亡くなったそうだ


「迷惑な奴だぜ」
「本当にな。降谷ちゃんに会えるまで手引きしてもらったのに、何も出来なかったな」
「萩原はまだ良い方だって」
「俺と諸伏は全くだぞ」


それぞれがブツブツと文句を言っている。僕だって文句の一つや二つ言いたかった。それは赤井と宮野姉妹も同じだ


「あ、そうだ。ゼロの恋人って?」
「Aだよ。ほら、僕達の幼馴染みの」
「そ、そっか。頑張って探そうな」


どこか違和感を覚えるヒロの励ましだったが、その時は気に留めなかった

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作者名:空白可能 | 作成日時:2023年3月27日 23時

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