30 ページ30
「見えない力が働いてる、そんな感じがしたな」
伊達班長が柄にもない事を言う。しかしながら、萩原と松田までもが何故か死亡扱いになっていた。加えて、班長は恋人であるナタリーさんまでもが、死亡扱いになっている事を話した
とどのつまり、班長の言っている事は正しい
その証明は、僕の友人達だけはない
宮野 明美もその一人だ
「あの、お話し中、すみません。宮野 明美さんに訊きたい事があって・・・」
話をしている赤井と宮野姉妹に声を掛けた
「ああ、彼女は、
僕の訊きたい事を察して、赤井が答えた
「望仙、さんに・・・」
「そのようだ。全く、どいつもこいつも勝手な事ばかりで、重たいものだな」
困り果てたように笑い、諦めたような言いぐさをする
「・・・すみません、僕のせいです。全部全部。僕のせいです。貴方は、ずっと僕を守ってくださったのに、恩を仇で返しました」
望仙さんの事も、ヒロの事も全て僕が原因だ
全てが終わった頃、ヒロが亡くなった経緯は聞いていた。それでも、自分が生きようと立っていられたのは、恋人であるAが、どこかで生きている、助けを待っていると思っているからだった
「良いんだ、君は悪くないよ。結果はどうあれ、こうやって生きている人がいるんだからな。今は君の恋人を探そう」
「・・・はい。ありがとうございます」
僕は本当に多くの人に囲まれて生きている。優しい人ばかりが僕の周りに集まってくれる。そして、全員がどこか遠い所に行ってしまう
それでも、皆はここに存在していた
「そう言えば、
「アイツはもういねぇよ。事故って死んだ」
「え・・・」
全ての元凶と言っても良いような杜若さんは、もうこの世にはいないと聞かされた。話によれば、日課のパチスロをやった後の帰り道で、信号無視の車にはねられて、亡くなったそうだ
「迷惑な奴だぜ」
「本当にな。降谷ちゃんに会えるまで手引きしてもらったのに、何も出来なかったな」
「萩原はまだ良い方だって」
「俺と諸伏は全くだぞ」
それぞれがブツブツと文句を言っている。僕だって文句の一つや二つ言いたかった。それは赤井と宮野姉妹も同じだ
「あ、そうだ。ゼロの恋人って?」
「Aだよ。ほら、僕達の幼馴染みの」
「そ、そっか。頑張って探そうな」
どこか違和感を覚えるヒロの励ましだったが、その時は気に留めなかった
32人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:空白可能 | 作成日時:2023年3月27日 23時