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「俺達は、あの人に助けられたんだ」
萩原はマンションの爆弾が爆発する前に難を逃れ、生き残る事が出来た。それというのも、あの人という存在、
萩原を引きずる杜若さんを止めようと、周りにいた仲間達も外に出たのだが、出た直後に爆弾が爆発した
難を逃れたものの、警察として活動する事は出来なくなっていた。どういう訳か、難を逃れた萩原達は死亡扱いとなり、職を失った
こんな形で、職を失うとは思わず、途方に暮れていた時に、杜若さんが声を掛けてくれた
『俺が作った会社があるから、そこで働け』
死人に行く宛もなく、藁にも縋るように杜若さんの世話になる事になった。そして、今では代表取締役を任されて、毎日をそこそこに過ごしているらしい
「あの人、絶対サボりたいだけなんだよなぁ」
「拾われた恩義もあるし、何にも言えないけどな」
「だよなぁ」
萩原と班長は諦めたように言い合っていた
「松田は?」
「俺は何か観覧車に細工がしてあったんだよ」
松田は萩原の仇と思って、犯人を捕まえようと思っていたが、観覧車の件で一人で乗り込んだ。だが、乗り込んだ側の扉とは反対側が開いて、引っ張り出された
いきなりの事で驚いた上に、開くはずのない反対側が開いて、引きずり出されたのだから、何が起こっているのかも理解が追い付かなかったらしい
「んで、爆弾の場所を教えてくれたんだよ。杜若の旦那がな」
「なんで、そんな・・・」
「分かんねぇ。未来でも見えてんじゃね?」
「可能性はあるよね。あの人、俺の時もそうだったし」
ヒロも松田の言葉に同意を示していた
「俺もだな。徹夜明けの張り込み帰りに、ひかれそうになったのを助けられたんだよ。軽傷はあったから病院に行ったけどな」
伊達班長も話を始めた
それは居眠り運転にはねられそうになった時に、杜若さんが腕を引っ張ってくれたお陰で、軽傷で済んだ
しかし、軽傷であっても、念の為、救急車で病院に行った。その救急車に乗ったのは高木刑事ではなく杜若さんで、そこで杜若さんから『死んだ事にしろ』と言われた
はじめは何を言っているのか分からなかったが、伊達班長は今の状況からして、何かしらの歯車であったと思う節があったのだろう
それに、何故か萩原同様に救急車で運ばれた後、死亡扱いとなってしまったのだと言う。高木刑事もいたというのに、理由が分からないが、そうなってしまった
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作者名:空白可能 | 作成日時:2023年3月27日 23時