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｢すみません。これが僕の仕事なんです｣
｢あむろさ、｣
僕は最低だ
そんな事は今に始まった事ではない
ただ、赤井 秀一の大切なものを汚して、憂さはらしをしたかっただけかもしれない。助けてほしいと泣き続ける彼を辱しめてまで
ジンと僕に乱暴に扱われた後、
一つしかない入口の前に設置されているカメラは、何度も出入りする
何かしらの手助けをして、望仙さんを地下室から救出したいが、たった一台の監視カメラが邪魔をしていて、手が出せないでいる。キュラソーの一件があるので、大きくは出られない
｢透くん、悩み事？｣
自宅に帰れば、Aが訊いて来る
｢･･･そんなところ｣
｢そっか。大変だね。俺に何か出来たら良いんだけど、邪魔にしかならないよね｣
｢邪魔にはならない。だから、こうやって抱き締めてる｣
｢それもそう、かな？｣
困った様子のAだけれど、Aを抱き締めているだけで安らぐし、ごちゃごちゃと回っている思考がまとまって整理さている
だからと言って、望仙さんを救い出せるような妙案は出ていないのだが
あの壱望さんをこちら側にはならずとも、せめて何かのアドバンテージを取れれば、どうにか現状を打破する糸口になりそうな気もしている
｢透くん｣
｢ん？ん、｣
あぐらをかいた中で抱き締めていたAに呼ばれて見下ろせば、触れるだけの口付けをされる
｢えへへ、奪っちゃった｣
｢また古いな｣
｢そうかなぁ｣
｢あんまり可愛いと食べちゃうぞ｣
｢あははっくすぐったいよー｣
Aの首に顔を埋めて、匂いを嗅ぎながら甘く噛んだ
｢もー｣
｢好きだよ、A｣
｢俺も好き｣
見つめ合えば、お互いの言葉を呑み込むように口付けた。しかし、それ以上の行為をしようとは思わなかった
望仙さんを辱しめたあの日から、Aと体を重ねる事が出来なくなっていた
Aを押し倒すと望仙さんが被って見えてしまうようになった。涙で濡れた顔で、僕に助けを求める望仙さんを汚した
そんな僕は、汚れを知らないAの体に触れる事を拒んでいた
｢いってらっしゃい｣
｢行ってきます｣
Aに見送られて仕事に向かう
今日も組織だ
｢バーボン｣
｢･･･壱望さん｣
声を掛けられ、顔を上げれば、壱望さんが目の前にいた
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作者名：空白可能
| 作成日時：2023年3月27日 23時
