22 ページ22
どちらかと言えば、沖矢 昴の方が浮いているようにも感じる。そう思ったが、話は出来るほどの知識は持っているらしい
「昴くん、これは他殺なのかな」
「今はまだなんとも、ですね」
舞台上に吊り上げられた波土 禄道の遺体。
結果的に事件は解決し、浅香に関しては空振りに終わった
「それじゃ、僕はジョディさんの所に行って来ようかな。またね、昴くん。それに皆さんも」
軽く挨拶をした望仙さんは、去って行った
「あの子、何者?」
傍にいるベルモットが、望仙さんの背中を見つめて問い掛ける
「FBIに協力している、ただの一般人ですよ。赤井 秀一が生きていた頃の連絡係だったようです」
「そう」
「調べますか?」
「いえ、貴方には別の事を頼むわ」
つまり、望仙さんは組織に探りを入れられる。僕が調べた以上の事は出ないと思うけれど。ある程度、穏便派であるベルモットなら、悪いようにはしないはずだが、一握りの不安が残る
それは現実となる訳だが
「そういや、上の奴らがなんか今度は大きく出るらしいけど、何か知ってる?」
組織を歩いていると声を掛けて来た
「今回は、僕は聞いてないですね」
「なるほどねぇ。じゃあ、キールも聞いてないのかな」
「何故、キールなんですか?」
「だって、お前らノックの疑いがあるじゃん」
さらっと答えられ、息が詰まった
「ま、頑張れよ」
「何をですか」
だがしかし、彼の言った通り、何かがあったとして、それは限りなく不利な状況になりえない事だった
早急に対策を練らなければならない
「貴方はどうするつもりですか?」
「俺?俺は滞りなく進むのを見守るかな」
「そうですか」
特に命令も受けていないからか、彼はこの一件に手を出す様子は感じられなかった
「それにしても、よくもまぁノックの疑いがある人間と話せますね」
「だって、バーボンはなんだかんだ言って、話聞いてくれるし。俺が話してるのは、特に組織とは関係ない事だし?」
確かに、あまり関係のない事柄を彼は話している
「俺から抜き取る情報もないだろ?」
「まぁ、そうですね」
「少しは否定しろよ」
くつくつと楽しそうに笑っている壱望さんを見ていて、本当に思っている事ではなさそうだった
「幹部になれるように、媚でも売るかぁ」
「精々、頑張ってください」
「へーい。頑張りまーす」
やる気のない返事を聞いた数日後、組織は警察庁への侵入を企てていた
32人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:空白可能 | 作成日時:2023年3月27日 23時