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どちらかと言えば、沖矢 昴の方が浮いているようにも感じる。そう思ったが、話は出来るほどの知識は持っているらしい


「昴くん、これは他殺なのかな」
「今はまだなんとも、ですね」


舞台上に吊り上げられた波土 禄道の遺体。望仙(もうせん)さんは大して驚く様子もなく見上げて、沖矢 昴と話していた

結果的に事件は解決し、浅香に関しては空振りに終わった


「それじゃ、僕はジョディさんの所に行って来ようかな。またね、昴くん。それに皆さんも」


軽く挨拶をした望仙さんは、去って行った


「あの子、何者?」


傍にいるベルモットが、望仙さんの背中を見つめて問い掛ける


「FBIに協力している、ただの一般人ですよ。赤井 秀一が生きていた頃の連絡係だったようです」
「そう」
「調べますか?」
「いえ、貴方には別の事を頼むわ」


つまり、望仙さんは組織に探りを入れられる。僕が調べた以上の事は出ないと思うけれど。ある程度、穏便派であるベルモットなら、悪いようにはしないはずだが、一握りの不安が残る

それは現実となる訳だが


「そういや、上の奴らがなんか今度は大きく出るらしいけど、何か知ってる?」


組織を歩いていると声を掛けて来た壱望(いちもち)さんに訊かれる


「今回は、僕は聞いてないですね」
「なるほどねぇ。じゃあ、キールも聞いてないのかな」
「何故、キールなんですか?」
「だって、お前らノックの疑いがあるじゃん」


さらっと答えられ、息が詰まった


「ま、頑張れよ」
「何をですか」


だがしかし、彼の言った通り、何かがあったとして、それは限りなく不利な状況になりえない事だった

早急に対策を練らなければならない


「貴方はどうするつもりですか?」
「俺?俺は滞りなく進むのを見守るかな」
「そうですか」


特に命令も受けていないからか、彼はこの一件に手を出す様子は感じられなかった


「それにしても、よくもまぁノックの疑いがある人間と話せますね」
「だって、バーボンはなんだかんだ言って、話聞いてくれるし。俺が話してるのは、特に組織とは関係ない事だし?」


確かに、あまり関係のない事柄を彼は話している


「俺から抜き取る情報もないだろ?」
「まぁ、そうですね」
「少しは否定しろよ」


くつくつと楽しそうに笑っている壱望さんを見ていて、本当に思っている事ではなさそうだった


「幹部になれるように、媚でも売るかぁ」
「精々、頑張ってください」
「へーい。頑張りまーす」


やる気のない返事を聞いた数日後、組織は警察庁への侵入を企てていた

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作者名:空白可能 | 作成日時:2023年3月27日 23時

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