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「・・・ちょっとだけ不安なんだ」
「不安?」
「そう、不安。だから、少しだけ、Aを感じさせてほしい」
自分の願いを言うと、Aは、良いよ、と微笑んでくれた
そんな彼にキスをして、押し倒した。久しぶりにAのもとに帰って来た事もあって、何度も何度も彼を求めた
わずかに自分の内にある不安を彼に注ぎ込む。彼は僕の何でもを受け入れてくれる。彼の体中に自分の痕を残して、意識を奪っても尚、行為を終わらせようとも思わなかった
Aの全てを手に入れたい
恋人という肩書きだけでは、満足が出来なかった
「・・・行ってきます」
朝、眠っている彼に小さな声で言い、部屋を出た
今日は殺伐とした日になる。赤井 秀一を追い詰める一手となれば、何でも良かった。アイツを見殺しにしたあの男を追い詰める為の何かに
だが、それも失敗に終わった
沖矢 昴と赤井 秀一が別人という判断しか出来ず、その日は惜しくも退散した
「あ、透くん、おかえりなさい」
色々な始末をつけて、自宅に戻ると彼が笑って迎え入れてくれる
「・・・ただいま」
同じように笑って、彼に返事をした
「うーん・・・」
彼は困ったように笑みをこぼしたかと思うと、僕の前に歩いて来る。そして、両手をこちらに伸ばして、僕の頬を包んだ。引き寄せられるように、彼とキスを交わす
離れた彼は優しい笑みを浮かべていて、僕はそれに首を傾げた
「零くん、お疲れ様。零くんはいつも頑張ってて偉いよ」
僕の事を抱き締め、彼は優しい言葉をくれた
「だからね、今はゆっくり休もう。俺と一緒にいる時ぐらいは、ゆっくりしよう」
ね、と頭に乗った彼の手が優しく頭を撫でてくれる。Aの匂いが鼻に通って、肺の中にある重苦しい空気が入れ換わって、張り詰めていた緊張の糸がほどけたような気がした
自分からも彼を抱き締めた
「・・・ありがとう、A」
「お礼を言われるような事じゃないよ」
「何度も言うよ。ありがとう」
「あははっ、すっごい照れ臭いね」
Aがいて、良かった。本当に
Aがいなかったらもう少し、暗い海を漂っていたと思う
優しくしてくれる彼と数日の間、穏やかな日を過ごした。心の安定を取り戻し、仕事に戻った
「
「そうですね。友達の昴くんに誘われまして」
浅香に関しての調べようとしていたら、その会場に望仙さんも現れた。園子さんや蘭さんの友人でもある彼が来るのは普通と言えば普通だ
テニスの時も望仙さんは来ていた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2023年3月27日 23時