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｢ううん･･･、俺も、ごめんね･･･。切り、放しても、良いから･･･｣
｢それはダメだ。･･･お前までいなくなったら、僕が困るだろ｣
もう親しい誰かがいなくなるのは、ごめんだった。それに、アイツがいなくなった事を知った彼が、苦しそうにしている姿を目の当たりにして、僕は少しだけ苦しさが減った
最低な事は分かる。だけど、自分が立っていられる確かな理由の一つになっていた
｢透くんは、優しいね｣
そう言って、彼は儚い笑みを浮かべる
元々心の弱い人間だった彼は、誰かに依存して生きていた。そして、依存先の恋人が相次いで亡くなった
｢僕は優しくないよ。それよりも、今日は何してた？｣
｢あ、えと、今日は買いものしてた。服、買ったりして、ちょっと遊んだりもした｣
｢そっか｣
鬱々とした彼だが、外には出たがるので、こちらが不安にならない程度に報告はしてもらっている
全てを把握する事は出来ないが、フラフラとどこかに出掛けて、樹海に行ったり、車の前に飛び出したり、駅のホームから落ちたり、階段から落ちたりしていなければ、及第点と言える
流石に、首に絞められた痕が残っていたのは、冷や汗が出て来るが
彼は自傷行為の類いではなく、限界が来ると命を絶とうとする。しかし、そのどれもが失敗している
｢お仕事、大丈夫そう？｣
｢僕は大丈夫。それよりも、久し振りにしないか？｣
｢･･･うん｣
彼の耳に触れて問い掛けると、彼は恥ずかしそうに小さく頷いた
何度も恋人達と体を重ねて、僕とも何度も体を重ねているにも関わらず、彼は行為に対しての免疫が全くつかない。いつも照れていて、それを見るのも好きだったりする
｢お、お風呂でする？｣
｢どこが良い？｣
質問を質問で返すと、彼は頬を染めてしまって、答える事はなかった
｢･･･可愛いな｣
耳に触れていた手を頬に移して、彼の顔を上げさせる。触れるだけの口付けして、顎を持ち、口を開けて、彼の口内に侵入する
水音が鼓膜を揺らし、興奮を誘う
歯止めが効かなくなり、キスをしながら彼を持ち上げて、行為に至った。首元を隠しているにもかかわらず、衣服の上しか着ていなかった時点で、彼が準備万端な事も察していたし、僕自身も彼との行為は好きなので、何の問題もない
｢･･･お前だけは、絶対に守るから｣
隣で寝息を立てる彼に誓って、無防備な額に口付けた。彼の隣で横になり、自分も眠りについた
次の日、目を覚ますと、彼はまだ眠っていた
彼が眠っている間に、朝食を作ってしまおうと体を起こした
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作者名：空白可能
| 作成日時：2023年3月27日 23時
