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｢A、A、起きろ｣
｢ん･･･？｣
後ろを向いているAに声を掛けると微かに声が聞こえる
｢ちょっと、動くぞ｣
｢う？ん、ぁんんん･･･っ｣
状況が分かっていないAをよそに、彼の中に入ったままだった自分のものを引き抜いた
｢はぁっん、んっ｣
｢ごめん、大丈夫か？｣
｢ん、ぅん･･･｣
｢驚いたな。ごめんな。まだ寝てて良いよ｣
｢･･･ねれないよ、バカ｣
｢それもそうか｣
二人で体を起こしたのだが、彼はブツブツ言いながらお尻の方を擦っている。その後ろ姿に息を呑んで、彼の背中にぴったりとくっついた
｢と、透くん？｣
｢ごめん｣
｢もう･･･｣
また朝から彼に負担を掛けてしまう
｢うー･･･｣
布団の中でAは唸っていた
｢今日はもう寝てて良いから。ご飯は食べられそうなら食べてくれよ｣
｢わかったぁ｣
かすれた声で返事をされ、不安は少々ながらに残るが、彼を置いて仕事に向かった
｢あ、バーボン。この間はサンキュー｣
組織に顔を出すと、そこにいた
｢こんな時間から元気だな｣
｢何がですか｣
｢お前の首。虫除け付いてんぞ｣
｢えっ｣
反射的に首を触る。触っても分からないけれど
｢お前、恋人いんじゃんよ｣
｢･･･昨日、出来たんです｣
｢へぇ。可愛い子？｣
｢教えませんよ。貴方なんかに教えたら、何をされるか分かりませんからね｣
一般人のAを遠ざける為の言い回しでもあるが、本当にこの人は何をするか分からない。恋人がいるのに、体だけの関係の人がいる。それだけで、倫理観に関しては信じていない
｢ひどーい｣
｢なんとでも言ってください｣
｢そんな事言って良いの？｣
｢僕の恋人に手を出ししたら、殺しますよ｣
｢おー、怖｣
本当にそう思っているのか。この人は常時、ヘラヘラと緊張感のない雰囲気をまとっていて、逆に言えば、一番内面が読みにくい
｢ま、大切な人がいるもの同士、仲良くしようぜ？｣
｢貴方は信用出来ません｣
｢なぁんで｣
｢なんとなくです。僕は忙しいので、それでは｣
延々と絡んで来るのを振り切って、自分の仕事に向かう
しかし、僕に恋人が出来た事を知ったせいなのか、何なのか、あの人は度々僕に話し掛けて来るようになった。それも自分の恋人を自慢する目的で近付いて来る
最初は嫌だったが、惚気話を聞いているだけの分には、問題がない事に気が付いた。ジンとの関係も確かにあるが、恋人の事もちゃんと好きな事も分かった
常識的に考えてあり得ないけれど
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作者名：空白可能
| 作成日時：2023年3月27日 23時
