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｢零くんは、俺を捨てない？｣
｢当たり前だ。僕にはAだけだからな｣
親しい友人は、もうA以外いない
だから、絶対に守ると決めた。例え、Aが生きる事を望んでいなくても。僕のエゴでAは生きている。それを忘れてはいけない
彼を抱き締めた彼の首元に顔を埋めて、微かに香る外の臭い。それが嫌だった
｢･･･Aに、ちょっとだけ、頼み事があるんだが･･･｣
そう言うと彼は不安げな瞳で僕を見た
｢えーっとな･･･。明日と明後日、部屋から出ないでくれるか？｣
｢うん？うん、良いけど･･･｣
｢その、出来れば風呂に入らず、明後日、僕が帰って来るまで、待っててほしい｣
｢えっ｣
突然の頼み事にAは困惑した様子だった。それもそうだ。突然、同居人から風呂に入らずに帰りを待っておけ、なんて言われたら誰でも困惑するだろう
｢んと、えと？｣
頑張って理解をしようとしている彼だけれど、全く理解が出来ていない様子だ
｢その、Aの匂いが嗅ぎたい｣
｢俺の匂い？｣
｢そう。ここだけで過ごして、匂いの濃くなったAとしたい｣
｢･･･そ、れは、恥ずかしいな。でも、そうしてほしいなら、するよ。シャワーだけは浴びても良い？痒くなっちゃいそうで･･･｣
明日と明後日は、シャワーだけで過ごしてもらう事になり、Aは終始恥ずかしそうにしていた
そんな彼と共に一緒に眠り、次の日を迎える
｢それじゃあ、明後日の夜、帰って来るまで、シャワーだけで頼む｣
｢うん。待ってる｣
玄関先で挨拶代わりのキスをして別れ、自分の仕事に向かった。今日は、組織での仕事だった
｢でさぁ、ウォッカ借りたいんだけど｣
｢断る｣
｢俺も嫌ですぜ･･･｣
一仕事を終えて、組織の溜まり場に行けば、見慣れた二人ともう一人が、何やら道の真ん中で話していた
｢んぁ？じゃあ、バーボンでも良いけど｣
会話の途中で、投げられた言葉に驚く
｢何の話ですか｣
呆れたように溜め息を吐きながら問い掛けた
｢んー？俺の仕事に付き合ってほしいって話だよ｣
｢面倒ですね｣
｢良いじゃん。どうせ、報告が終わったら暇だろ。他に用事でもあんの？｣
｢ないですけど･･･｣
｢じゃあ、行こうぜ｣
報告が終わった後に、一緒に行動する事が決定してしまい、この後に入れていた風見との打ち合わせは後日に持ち越す事にした
｢それで、どこに向かうんですか？｣
｢情報処理だよ。末端の俺にはそのぐらいしか仕事は来ない｣
末端の仕事と言えば、邪魔者の始末だと思うのだが、この人は違うらしい
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作者名：空白可能
| 作成日時：2023年3月27日 23時
