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1 はじまり ページ1

「それでは、その様な形で警備はお願いします」
「分かりました。他に警備すべき場所はありますか?」
「そうですね・・・」


警備資料をめくりながら確認をしているのは、有力者の秘書を務めている若い男性。名刺を渡された事とこちらでも、情報として、男性の事は把握している


「特に異論はありません。当日もよろしくお願いしますね」
「はい。お時間は大丈夫ですか?」
「あと三分なら」


懐中時計を一瞬だけ見た男性秘書が答える


「ありがとうございます。当日は我々がしっかり警備しますが、細心の注意を払い、用意されている飲食物にも、警戒を怠らないでください」
「了解しました。お互い、尽力しましょう。それでは、そろそろ」
「はい。それでは」


男性秘書と別れて、明日の予定を再確認する

明日は有力者が集まっての会議がある。それに当たっての警備を自分が務める事となった。普段なら僕が出張る必要もなかったのだが、今回は少々訳が違う

今回は、名指しで脅迫が届いた。それが会議に出席する一人であり、先程の秘書が脅迫を受けた有力者の専属の秘書だ

あの秘書は界隈では有名な人物で、完璧なタイムスケジュールを作ったり、有力者の機嫌を損ねない完璧な世話をして、仕事の早さも異次元という話だ。この目で見ていないので、どの程度かは分からないが、今の会話からして、仕事が出来るタイプだとは感じた


「こちらの人員とも確認しておくか・・・」


秘書との確認も終えて、こちらの人員とも確認を終える。明日にも最終確認をするから、後は考えられる可能性を少しでも防ぐ事を考えて、明日に持って行こう

そう思って、その日を終えた

次の日、会議が始まる数時間前に事件は起こった

脅迫を受けた有力者が亡くなったそうだ。有力者が亡くなった場所が、有力者の自宅だった為、警察側の顔が潰れる事もなかった

有力者の事件の捜査は、すぐに始まった

そして、その犯人もすぐに判明した。犯人は、亡くなった有力者の秘書、前日に会話をしたあの秘書が犯人だった

自宅に設置されているカメラが存在し、そのカメラに映っていたのだ。有力者の背後を取り、首を包丁で刺す男性秘書の姿がカメラに映っていた

あの秘書は、有力者を刺した後、カメラに気が付いているかのように、目線がカメラに向けられていた。血まみれで、こちらに向けられる視線に、珍しくも寒気がした

凶器の包丁からは、秘書の指紋も採取されていた

しかし、こんなにも決定的な証拠があるにも関わらず、犯人である秘書が行方不明となり、捕まえる事は出来なかった

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作者名:空白可能 | 作成日時:2023年3月27日 23時

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