後日談 last ページ49
「良かった」
「医師の免許は取ってくださいね」
「・・・はぁい」
復帰出来ると言っても、免許が無いなら意味がない
「試験は、いつになるか分かりませんが、大丈夫ですか?」
「大丈夫。勉強見てた事もあるから、大体は頭に入ってる」
流石に何十年も闇医者をやっていただけはあって凄い自信だ。その自信を彼自身にも適応してほしいものだ
「免許が取れるまで、何もしないでくださいよ」
「分かってるって。もう零には迷惑は掛けないよ」
そう言ってAさんは笑ったが、溜め息を吐いてしまった
「れ、零?」
「僕に迷惑は掛けても構いません。ただ法外の事はしないでくださいと言ってるんです。分かりましたか?」
「あ、はい。分かり、ました・・・」
怒ったような口調で言うと彼は丁寧な口調で返して来る
「じゃあ、今日も頑張りましょうね」
「うん。零も俺の為に今日も明日もちゃんと生きて帰って来てね」
「分かってます」
彼に見送られて、家を出た
そして、Aさんが本当の医者として病院に勤められるようにと準備を進めて行く
ニュースで流れたようにAさんは世間的には、自ら命を絶った事になっていた。彼が医者として信頼している人達には生きている事を伝えているのだが、前のような事が起こらないように祈るばかりだ
Aさんは医師免許をちゃんと取得し、取るまでの期間の助手から、医者になった
医者としての名声は無くなったが、元々腕は良いので、すぐにAさんは界隈で有名になっていた
ただ、それをあまり公には出来ない為、彼に接触するのは至難の業だ
それでも勤めている病院は突き止められており、たまに取材だの何だのの怪しい連中が訪ねて来る
勿論、国家権力に敵うはずも無いのだが
「Aさん」
「なに?」
「お仕事、頑張ってますか?」
時々こうやって、病院にいる彼のもとに行き、こんな質問をする
「んー、ボチボチってところ」
イスに座っている彼は答えた
「そう言う零は、いつでも頑張ってるから訊かなくても大丈夫だな」
「本当、医者の時は雰囲気が違いますね」
「そうか?」
彼は気付いていないのか、僕の顔を見ながら首を傾げた
「そうですよ」
「俺は勤務中」
近付いてキスをしようとすれば、彼は手の甲で口元を押さえた
医者の彼は真面目な性格なようで、それを自分の休憩の合間に見に来ていると言ったら怒られるだろうか?
彼は変に鈍感だから大丈夫だろうな
そんな事を思いながら、資料に目を通している無防備なAさんの首筋にキスを落とした
―
終わり
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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年9月11日 0時