後日談 ページ47
Aさんを必要としているのは、主に病院で、医療界隈から彼が消える事は、今現在、入院している患者の心臓を抉り取るような行為で、医療機関は完全に機能を失うらしい
「警察病院での勤務だけになりますが、それでも良いですか?」
「俺はどこでも良いよ。零がいればそれで」
「そうですか。なら良かった」
笑って返すとAさんも笑った
準備期間中にAさんは僕の家に引っ越し、今は軟禁状態が続いている。その事は、Aさん自身は気にしていない様子で、仕事から帰った僕の事を労ってくれたりする
「零?聞いてる?」
「すみません。聞いてなかったです。何ですか?」
「いや、あの診療所はどうなるのかなって」
そう言えば、彼が気に入っている診療所があった。そこにいる子供達、勤めている看護師、それがどうなるのかが、Aさんは気になっている様子だった
「Aさんが気になるのであれば、警察病院の方に移ってもらう事は出来ますよ」
「じゃあ、お願いしたいな。一応、雇い主は俺だから、ちょっと不安で」
「そうですね。こちらで手配しておきます」
「ありがとう」
そう言った彼はホッとしたような笑みを浮かべた
「Aさん」
「ん?」
「・・・いえ、呼んでみただけです。食器、片付けて来ます」
話をしている内に、晩御飯を終えたので食器を片付けに行く
「れーい」
食器を洗っていると、突然、耳元で聞こえた声に驚いた。後ろから抱き締められていて、食器を洗っていた手が止まった
「な、何ですか?Aさん」
「呼んでみただけ」
そう言う割りには彼の手が僕の服の中に滑り込んでいた
「まだ終わってないんですけど・・・」
「俺が後でやっとくよ」
「・・・はい」
返事をし、流れていた水を止め、Aさんの方を向いた。キスをして、彼の唇が首元に下りて、チクリと痛む
「ベッド行く?」
離れた彼に頷いて返すと簡単に抱き上げられた
「俺の事、愛してる?」
「愛してますよ。だから、僕の傍から離れないでくださいよ」
「俺は離れないよ。例え、零が嫌がっても。零は俺だけのもんだ」
Aさんの独占欲は日に日に強くなっていて、彼に体を預ける事は珍しくはない
彼の独占欲は、多少だけど子供じみていて、可愛いげがあった。何かのスイッチが入れば、Aさんは幼くなる。そんな彼を拒む事も無く、受け入れた
彼の精神が不安定なのは、節々で感じていた
それを誰にも見せずに何十年も過ごしていたとなると相当なものだ
そして、それを崩した僕にも責任はあった
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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年9月11日 0時