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後日談 ページ46

「嵐のような人達でしたね」


二人が出て行った後、取調室に残った僕達は少し話をしていた


「昔よりマシになってて、安心したよ」
「アメールですか?」


訊くとAさんは頷いた


「アメールは昔から人間不信で、誰にも頼ろうとしなかったし、笑う事も無く、泣く事も無かった」
「Aさんと出会って変わったんですね」
「いや、赤井と出会って変わったんだと思う。俺なんか本当、何にも役に立たないし・・・」


いつから彼は自分に自信を無くしてしまったのだろう。出会った頃は自分で天才だからだとか言っていたクセに


「僕が言っても何も変わらないと思いますけど、少なくとも僕はAさんのお陰で変われましたよ」
「どんな風に?」
「生きる意味を貰ったと言ったでしょう?考え方が変わったんですよ」


問い掛けて来るAさんに答えた


「変わったのは零自身のお陰だよ」
「はぁ・・・、もう!!」


彼の言葉に溜め息を吐いた後、机をバンと叩いて立ち上がった。ビクリと肩を揺らしたAさんは僕の事を見上げた。その目は怯えが混じっていた

そんな彼をよそに彼の隣まで歩いた


「な、なに・・・?」


怯えた彼が問い掛けて来るが、それを無視しAさんの顎を掴み無理矢理、キスをした

「ん、んん・・・ッ」


少しだけ唇を離し、彼の口を開かせて、もう一度、口付ける


「んは、ぁッ」


舌を絡ませて、キスを続けると胸元を押されたので、仕方無く唇を離して、Aさんを見下ろした

息を切らせたAさんは頬を真っ赤に染めて、潤んだ瞳で僕を見上げて来て、それがとても可愛いと思ってしまった


「な、なんでぇ・・・?」
「貴方が、僕の大好きなAさんを悪く言うからですよ」


惚けた顔のまま訊いて来るAさんに答えた


「俺の、事なのに、」
「良いですか?僕はAさんを否定する全てが許せません。それがAさん自身だとしても、許す事は出来ません」
「れ、い・・・」


Aさんの頬を包んで言えば、彼は小さく僕の名を呼ぶ


「僕の言いたい事は分かりましたか?AさんはAさんの為に生きるのでは無く、僕の為に生きてください」
「わか、った」


虚ろな瞳でAさんは返事をする


「良い子です」
「俺、良い子だもん」
「そうですね。愛してますよ、Aさん」
「俺も愛してる・・・」


再び彼とキスをして、今日の取り調べを終えた

その次の日から、Aさんを世間的に死亡扱いにする為の準備が進められた。事はすんなりと進んでいた。と言うのも、彼を必要としている所は多かったからだ

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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年9月11日 0時

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