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後日談 ページ44

「あ、いえ、僕は別に何も・・・」


特に何もしていない、と言えば、アメールは首を横に振った


「Aが、今ここにいるのは降谷さんのお陰です。本当にAは、もう少しで・・・」
「それは、どういう事ですか?」
「Aはずっと独りだったんです。それは俺なんかでは埋められない溝でした」


そう言って、アメールはAさんとの事を話してくれた。それは以前、Aさんから聞いた事のあった、お互いの欠けた部分を補い合って生きていたというあの話だった


「俺はAの為になら何でも出来ると思っていました。死んでも良いって。一生、傍にいようって。だけど、それはある人との出会いで大きく変わりました」


アメールはチラリと赤井の事を見た

そういう事だった

アメールは赤井に出会い、赤井に対して特別な想いを抱いてしまった。そして、それを話せるのも、頼れるのもAさんしかいなかった


「俺はAの隣に相応しく無かった。隣に立てていたと思ったのに、俺ばかりが助けてもらって、本当に情けない話です」


視線を落としたアメールは今にも泣き出しそうな程に苦しそうな表情だった


「俺はAの心の一部にはなれなかった」
「それは違いますよ。アメールは確かに、Aさんの心の一部です。でないと、あれ程まで落ち込んだりしませんよ」


誰かがいなくなっても、気にしない人は気にしない。アメールの事を気にしていなければ、あそこまで自暴自棄にはならないはずだ


「心の一部だったからこそ、穴が空いてしまった。そういう事だと思いますよ」
「・・・そうだと嬉しいです」
「僕から訊いておきますよ。さて、皆でもう一度、話し合いましょうか」


頷いたアメールと赤井と一緒に取調室に入った


「Aさん」
「零。話は終わった?」
「終わりましたよ。後はAさんのこれからの事を皆で話すだけです」


中で座って待っていたAさんに話して、二人も加えて、今後の事を話した


「Aを死んだ事に、ですか?」
「ええ。こちらで、今後の身分は提供出来ますし、僕の監視下という体にしておけば、Aさんも楽になると思います」


自分の地位を最大限まで活かして、Aさんの事を助けようと思っていた


「零の監視下・・・」
「降谷くんの監視下だという事は同居でもするのか?」
「えっ」


赤井が訳の分からない事を言い始めた


「良いじゃないですか、それ。俺は賛成です」
「アメール?」
「Aも誰かと一緒に暮らしなよ。好きな人と過ごすのは楽しいよ」


Aさんにアメールは笑って答えた

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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年9月11日 0時

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