後日談 ページ43
そう言えば、と赤井を見たが赤井は電話を受け取った時ほど、焦っている様子は無く、どちらかと言えば、アメールが焦っている事に焦っていたという事になるだろう
アメールの様子からすれば、話を聞かずに突っ走っていそうだ。同じような性格、と言ったら悪いのか、アメールは僕と似ているような気がした
｢ここです｣
Aさんのいる取調室の扉の前で立ち止まった
｢A!!｣
アメールは彼の名を呼びながら、そこを開けて、勢いよく中に入って行った。それに続いて僕と赤井も中に入った
中にいたAさんは暇だったのか、外を眺めていたらしくこちらに視線を向けた
｢アメール？｣
｢A･･･っ｣
｢うわっと、｣
アメールは彼の元まで走って行き、抱き付いた。それを受け止めたAさんは、抱き付いているアメールの頭を撫でた
｢アメール？｣
｢バカッ!!俺がどれだけ心配したと思ってんだよ!!｣
Aさんの胸元に埋めていた顔を上げたアメールは怒鳴った
｢ご、ごめん･･･｣
｢もう会えないかと思ったじゃんか･･･!!｣
｢･･･ごめん｣
アメールは涙を流していた。口調も穏やかなものではなく、崩れていた。それにAさんは謝る事しか出来ていなかった
｢赤井。僕達は一旦、外に出ておきましょうか｣
｢そうだな｣
彼らだけ残して、僕達は取調室の外に出た
｢驚いたよ｣
取調室から出た先で待っていると赤井が唐突にそんな事を言った
｢何がですか？｣
何の事か分からず、赤井に訊いた
｢アメールが生きていた事だよ｣
｢ああ、そうでしたね｣
赤井にとっては、アメールは命を落とした存在になっていた事がすっかり頭から抜けていた
｢今までのお返し、君が言ったその言葉の意味がアメールと再会した時、ようやく分かったよ｣
｢スコッチの事は貴方も知っていたんですか？｣
｢スコッチの事？｣
｢驚くかもしれませんが、スコッチも生きているんですよ。Aさんに助けられて｣
そんな事からAさん達の話が終わるまで、赤井と色々な話をした。スコッチの事、アメールの事、Aさんの事、本当に色々あって、今度どこかに行こうと言う話までに至った
変な話をしていると取調室の扉が開いた
｢すみません。お待たせしちゃって｣
顔を覗かせたのはアメールで、少し笑って謝った
｢もう大丈夫なのか？｣
部屋から出て来たアメールに赤井が訊いた
｢はい。降谷さん、Aの事を助けてくれて、ありがとうございました｣
僕の前に立ったアメールはそう言い、深々と頭を下げた
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作者名：空白可能
| 作成日時：2019年9月11日 0時
