後日談 ページ41
「こんにちは、Aさん」
「降谷だ。今日は降谷が取り調べ?」
数日振りに会ったAさんは思ったよりも元気そうだった
「取り調べというより、お話がしたくて」
「話?」
「はい。昨日、赤井から連絡がありまして・・・」
そう言った瞬間、Aさんの雰囲気が変わった。僕が部屋に入った時から合わせていた目も逸らした
「何があったのか、教えてくれませんか?外には誰もいません。僕達だけです」
「・・・アメールが結婚するんだって」
「アメールが?お相手は?」
「赤井だって」
視線を落とした彼はポツリポツリと答えた
「赤井とアメールが・・・。Aさんは、アメールと赤井に何か言いましたか?」
「おめでとう、幸せになって。とだけ」
それだけなら、赤井のあの焦りようは何だ?何かが無い限り、赤井があれほど焦る事は、珍しい
「その後の連絡は?返事をしたりは?」
「してない。俺がいたら、幸せになれないじゃん・・・」
泣きそうな表情でAさんは言った
「二人が日本に向かっているそうです。Aさん、アメール達は貴方の事を凄く心配しているんだと思いますよ」
「アメール達が?どうして?俺なんか、気にせずに幸せになれば良いのに」
「なれないんですよ。なれる訳がない」
彼は分かっていなかった。大切な人を失ってまで幸せになれるはずが無い事を。ずっと、その影を背負って行く事を
今まで普通に連絡をしていた相手なら余計に、心を痛めて、苦しくなる事を
「貴方無しでは、アメールは幸せにはならないんですよ。貴方にも幸せになってほしいから」
「俺にも・・・?」
「はい。だから赤井達が来たら、ちゃんと話しましょう。僕も一緒にいますから。ね?」
そう言うとAさんは僕の顔をじっと見詰めた
「どうかしましたか?」
「なんで、降谷は俺に優しくしてくれるのかなーって思って」
Aさんが言った事に少しばかり理解が遅れてしまった。組織壊滅後の別れ際の事、今までの事で、気付いていなかったのか?と思ってしまった
だけど、彼の言動からして理解出来ていない事は確かだろう
「僕がAさんと同じ想いを抱いているからだと思いますよ」
「俺と同じ?」
「好きだという気持ちです」
首を傾げて訊いて来たAさんに答えた
答えると彼は大きく目を見開いた
「Aさんと別れる時、キスをもっとしたいと言ったのも、貰った指輪を首から下げているのも、今こうやって話しているのも全部、貴方が好きだからですよ」
何を伝えれば、彼に伝わるのかは分からないが、思い付くだけの言葉を連ねた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年9月11日 0時