検索窓
今日:10 hit、昨日:4 hit、合計:60,489 hit

後日談 ページ41

「こんにちは、Aさん」
「降谷だ。今日は降谷が取り調べ?」


数日振りに会ったAさんは思ったよりも元気そうだった


「取り調べというより、お話がしたくて」
「話?」
「はい。昨日、赤井から連絡がありまして・・・」


そう言った瞬間、Aさんの雰囲気が変わった。僕が部屋に入った時から合わせていた目も逸らした


「何があったのか、教えてくれませんか?外には誰もいません。僕達だけです」
「・・・アメールが結婚するんだって」
「アメールが?お相手は?」
「赤井だって」


視線を落とした彼はポツリポツリと答えた


「赤井とアメールが・・・。Aさんは、アメールと赤井に何か言いましたか?」
「おめでとう、幸せになって。とだけ」


それだけなら、赤井のあの焦りようは何だ?何かが無い限り、赤井があれほど焦る事は、珍しい


「その後の連絡は?返事をしたりは?」
「してない。俺がいたら、幸せになれないじゃん・・・」


泣きそうな表情でAさんは言った


「二人が日本に向かっているそうです。Aさん、アメール達は貴方の事を凄く心配しているんだと思いますよ」
「アメール達が?どうして?俺なんか、気にせずに幸せになれば良いのに」
「なれないんですよ。なれる訳がない」


彼は分かっていなかった。大切な人を失ってまで幸せになれるはずが無い事を。ずっと、その影を背負って行く事を

今まで普通に連絡をしていた相手なら余計に、心を痛めて、苦しくなる事を


「貴方無しでは、アメールは幸せにはならないんですよ。貴方にも幸せになってほしいから」
「俺にも・・・?」
「はい。だから赤井達が来たら、ちゃんと話しましょう。僕も一緒にいますから。ね?」


そう言うとAさんは僕の顔をじっと見詰めた


「どうかしましたか?」
「なんで、降谷は俺に優しくしてくれるのかなーって思って」


Aさんが言った事に少しばかり理解が遅れてしまった。組織壊滅後の別れ際の事、今までの事で、気付いていなかったのか?と思ってしまった

だけど、彼の言動からして理解出来ていない事は確かだろう


「僕がAさんと同じ想いを抱いているからだと思いますよ」
「俺と同じ?」
「好きだという気持ちです」


首を傾げて訊いて来たAさんに答えた

答えると彼は大きく目を見開いた


「Aさんと別れる時、キスをもっとしたいと言ったのも、貰った指輪を首から下げているのも、今こうやって話しているのも全部、貴方が好きだからですよ」


何を伝えれば、彼に伝わるのかは分からないが、思い付くだけの言葉を連ねた

後日談→←後日談



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (30 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
79人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:空白可能 | 作成日時:2019年9月11日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。