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「お金次第で・・・」
「この世はお金で大抵の事は解決出来るからね」


それが当たり前だ、と言わんばかりの口振りで言われて何も返せなかった


「そうだ。シャンディ見てない?」
「シャンディ?」
「シャンディガフっていうコードネームの男」
「分からないですね」


シャンディガフというコードネーム自体、初めて耳にした。ベルモットやジンはよく聞くけれど、そんなコードネームは聞いた事がなかった


「知らないなら良いや。じゃあ、また今度」
「はい」


Aさんと別れて、いつものようにその後を過ごしていた

そして、組織に潜入して暫くが経った。コードネームを貰う事に成功し、時を同じくして、アイツもスコッチというコードネームを貰い、もう一人、同じ時期にライという男もいた

結局、シャンディガフという人物には会えないままだった


「・・・まただ」


廊下を歩いているとスコッチとAさんが話しているのが見えた。今回はスコッチが怒っている様子は無く、比較的、穏やかに話しているようだった


「お二人共」
「あ、バーボン」
「盗み聞き?」
「こんな所で話している方が悪いんです」


Aさんが訊いて来た事に笑って返した


「何のお話ですか?」
「コードネーム貰ったんだなぁって話」
「Aさんは貰ったんですか?」
「貰ってない。コードネームなんて目立つからいらないし」


僕達がコードネームを貰った事を特に気にも留めず、Aさんは言った


「悪目立ちはしたくないから」
「医者が悪目立ちしたら面倒だもんな」
「スコッチは分かってくれるか」
「何ですか、それ」


三人で笑い合っているのも不思議な感じがしたが、悪くは無い時間だった

Aさんは、組織内でも唯一、黒に染まりきっていない存在だと思った。組織にいるものの、その存在は医者としての立場を確立していて、染まりきる事は無いと思った

だからこそ、組織内でAさんの存在は僕達の中で大きくなっていた

本職が医者なので、病気や怪我について訊けば、ちゃんと答えてくれるし、怪我や病気をすれば、Aさんが見てくれていた

しかし、彼が軽傷で見てくれるのは、僕とスコッチだけだと話していた


「Aさん」
「ん?」
「Aさんはどうして組織に入ろうと思ったんですか?医者として申し分ない腕を持っているのに」


ずっと気になっていた

彼は医者としての実力は本当に素晴らしいものだった。実際に病院で勤めているところは見た事は無いが、組織で出た重傷者の命を繋ぎ止めていた姿は何度も見ていた

だからこそ、どうしてここにいるのかが気になった

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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年9月11日 0時

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