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「分かってますよ」
「なら良いが。じゃあ、次の段階だ」
頷いて返し、Aさんから説明を受けた
スターチスの死亡診断書の正確さを僕が証明し、スターチスの代わりを火葬まで持っていく事が最終目標だった
「スターチスの代わりと言うのは?」
「俺の作った人形」
「人形で大丈夫ですか?」
「シャンディの葬式に誰か来るとでも?」
その通りだった。スターチスは犯罪者であって、お葬式に来るのは、それこそ赤井ぐらいのものだろう
「A、俺は・・・、」
「シャンディは何も気にするな。お前の居場所は俺が作る」
「・・・ありがとう」
Aさんとスターチスは本当に信頼して、信用し合っているのが分かる。Aさんの事にスターチスは口出ししないし、Aさんもスターチスが決めた事には何も言わなかった
「それにしても、本当に居場所はどうやって作るつもりですか?」
「身元不明の男を俺が引き取る形にすれば良い」
「俺の時もそうだったもんなー」
呑気な声で言われた事に、スコッチをふざけているのか?と言わんばかりの顔でついつい見てしまった
「俺も迎え入れられたんだよ。Aさんの家族としてな」
「Aさんの家族に・・・?」
訊くとスコッチは頷いた
「もう俺は元の俺には戻れないからな。景光っていう名前だけは残ってるから、安心しろよ」
「そう、か・・・」
一度死んだ人間は二度と甦らない、甦れない事は分かっていたのに、聞いてしまうと気持ちが落ち込んでしまった
「スコッチ・・・どうして、あの時、自ら命を絶ったんだ。赤井 秀一はお前に何を言った?」
ふと思い出した事をスコッチに訊いた
「アイツは俺を助けてくれようとした。俺が最後に聞いたのは、ゼロ、お前の足音だ」
スコッチの言葉に呼吸が止まった
赤井はスコッチを助けようとした?僕の足音を最後に聞いた?だとしたら、スコッチの命を奪ったのは、
「僕、だったのか・・・、スコッチを、ヒロを殺したのは・・・俺だったんだな・・・」
「気にするなよ。俺はこうやって生きてる」
「もし、もしAさんがいなければどうなっていたと思ってるんだ!!お前は、ずっと俺は・・・っ」
声が出なくなった。嗚咽だけが部屋に響いて、ただただ胸が苦しかった。Aさんがいなければ、本当に景光はこの世からいなくなっていて、それも自分の足音が原因だった
組織があれば、踏み留まらずに進めたのかも知れないが、それが無くなった今の自分に支えは無くて、どうすれば良いのか分からなかった
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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年9月11日 0時