可愛い担当の友人の話【男主】 (ページ16)

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｢･･･その可能性というのは？｣
｢時期に分かる｣

そう言われて、どれだけ経ったのか、赤井秀一に利用された彼女は命を落とし、彼女の妹までもが姿を消した

｢シャンディガフはどうなった？｣
｢問題なく行動中。無理をさせるつもりなら、止めさせるから｣

ジンと話しているAさんはジンを軽く睨んでいた

｢分かっている｣
｢なら良いけどさ。それじゃね｣

本当にAさんという人は分からない。コードネームも無いのにジンとまともに話せるなんて

｢Aさん｣
｢バーボン。どうかした？｣
｢シャンディガフは一体？｣
｢それは教えられないな。知ってるのは、ごく一部の連中だけ｣

そうですか、と言えば彼は去って行く

そこからまた暫くして、キールが事故に遭い、昏睡状態になった。FBIの監視下に置かれている場所からの奪還は難しいとされていたが、病院全体を巻き込んだ奪還作戦が立案された

医者の端くれであるAさんは最後まで反対していたが、一方的に押し切られる形で実行に移された

｢キールの居場所が分かったようです｣

Aさんはキールの眠っている病院で働いているにも関わらず、キール奪還に協力しなかった為、彼には僕から報告した

｢だから？｣

溜め息のように息を吐いた彼から聞こえたのは低い声だった

｢いえ、報告しておいた方が良いと思ったので。病院、行かないんですか？｣
｢これから行くところだ。爆弾を仕掛けたそうだからな。医者が患者を守れないなんて事があって堪るか｣

立ち上がった彼は僕の方を向き、歩き始めた

｢随分、仕事熱心ですね｣

横を通り過ぎた彼を追い掛けて嫌みのように言った

｢あそこにはシャンディもいる。当然だ｣
｢シャンディガフが？｣
｢病院に潜入してるんだよ。FBIの動向を窺う為にな｣

足早に歩く彼は早口で答えた

｢バーボンも来るか？｣
｢･･･僕は、遠慮しておきます。邪魔になりそうなので｣
｢だろうな。俺は失礼する｣

歩みを止めて、彼の背中を見送った

今までの彼とは真剣さが違った

そんな彼について行けば、足手まといになる事は確実な事だった。それに病院に行けば、彼は彼自身の仕事で忙しくなる。それを手伝える程の知識は持ち合わせてはいない

キールの奪還が終わるまで、自分の仕事をする事にした。奪還は成功し、キールは組織に戻った

だが、疑いが掛かっていた。FBIと手を組んでいないか、と。その疑いを晴らすべく、ジンが狙いを定めたのは赤井秀一だった

赤井秀一はキールに頭を撃ち抜かれて死亡したとされた

僕はそれを信じてはいなかった