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「・・・Aさんとシャンディガフはそういう関係なんですか?」


運転する彼に問い掛けた


「そうだよ。他人との在り方は色々だけど、俺達は互いに足りないものがあって、それを補い合ってる」


Aさんに足りないものなんて無いような気がするけれど、他人には分からない彼だけに分かる、足りないものというものがあるのだろう


「シャンディガフがいなくなる事は考えないんですか?」
「俺がいる限り、離れる事はあっても、いなくはならない」


彼は言い切る

それほどもまでに自分に自信があるというのに、何が足りないというのだろうか


「Aさんに足りないものとはなんですか?」
「質問が好きだね」
「あ・・・すみません・・・」


溜め息混じりに言われて、すぐに謝った


「別に怒ってる訳じゃないけど、自分の事だけをべらべら喋るのが嫌」
「そうでしたか。僕にも質問しても良いですよ」
「じゃあ、質問。あの組織が潰れたら、俺とシャンディはどうなる?」


質問された事は僕自身の事では無かった

けれど答えは僕が決める事だった。その答えはすぐに出せるというのに、言葉に出すには荷が重過ぎる事だった

彼らは確かに組織の一人で、裁かれるべき対象だ

しかし、Aさんは医者で、なすべき事をしているに過ぎない。怪我人の手当てをして、人の命を救うのが彼の仕事だ


「Aさんはともかく、シャンディガフは仕事の内容によります。内容によっては、法で裁かれるでしょう」
「なるほどね。俺みたいな仕事なら許される訳だ」


良くも悪くも、彼の仕事について深く追求は出来ない。表で医者である為、彼を捕まえる事は難しい。犯罪者であろうが無かろうが、彼にとっての命は分別が出来るものではない


「まぁシャンディは医者じゃないから裁かれるだろうね。言うなれば、組織の司令塔で囮」
「囮?」
「俺は反対してるんだけど、断れないらしいよ」


シャンディガフの存在が全く分からない。囮だと言われても、どこで何をしているかも分からない


「・・・国家を欺く代償は何なんだろうな」
「え・・・?」
「何でもない」


Aさんの呟いた言葉に引っ掛かりを感じたけれど、彼ははぐらかすように笑って何も答えてくれなかった


「着いたよ」
「今日はありがとうございました。貴重な体験が出来ました」
「そうかい?」
「Aさんの事を沢山、知れましたから」


彼は完全な悪では無い事も知れたので、協力を申し出る事が出来るかもしれない。その為の条件は厳しいかもしれないが、賭けれるだけマシだと思う事にした

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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年9月11日 0時

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