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「先生は私の事を疑わず、落ち着いた頃に何があったのかを話すように言ってくれました」


Aさんは彼女の話を聞き、子供達の話を聞き、事は収まり、平和な日常が戻った


「真っ先疑われるべき私を疑わなかった事、なにより大人から貰う優しさなんて初めてで。先生の行動はどんな言葉よりも嬉しかった」


それからというもの、彼女は先生の事を少しずつだけど信じ始めた

信じるというより、彼は誰とも接していない時は、いつもボーッとしてるような、しっかりしていないような雰囲気で、声を掛けられずにはいられなかったそうで、当時から身の周りの事を口煩く言っていたらしい


「君が来てくれれば楽なのになぁ、と先生に言われて、本当に来ちゃいました」
「来ちゃいました、で来れるんですね・・・」


笑って言いのけた彼女に、笑って返した


「勿論、簡単では無かったですけど、先生がいるなら良いかなって思って。先生も勉強、見てくれましたし」
「そこはしっかりしてるようで」
「変な所が几帳面なんですよ、先生は。周りにしっかりしている人がいれば、先生はボーッとするらしくて」


周りにしっかりしている人がいれば、と言われて思い当たる節があるような、無いような。もしかして、シャンディガフもしっかりとしている人なのだろうか

あまりよくは分からないが、そんな感じがした


「安室さんも、しっかり先生を見ていてくださいね。いつ無茶をするか分からないので」
「分かりました」


守れるかどうかは分からないが、頷いて返した


「きっと、安室さんの事も先生が助けてくれますよ」
「だと良いんですけどね」
「私には分かります。いつか貴方も先生を心から信じられるようになりますよ」


言い切った彼女は本当に心から彼の事を信じている。信じているよりも上、彼女からは崇拝、信仰しているにも近しい感覚があった


「話は終わった?」
「終わりましたよ、先生。お待たせして、すみません」


奥から出て来たAさんに驚く事も無く彼女は答えた


「良いよ。どうせ、今日はもう暇だから」
「そうでしたか。では、お二人共、お気をつけて」
「また来る」
「お待ちしています」


頭を下げた彼女に僕も頭を下げて返し、歩き出した彼の後を追った


「俺の話が聞けて良かったね」


車に戻るまで無言だったAさんがエンジンを掛けながら言って来る


「信頼されているんですね」
「まぁね。年下の子は好きだからね、優しくするんだよ」
「それは僕にも適応されますか?」


問い掛けると彼は僕の方に視線を向けた

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作者名:空白可能 | 作成日時:2019年9月11日 0時

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