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それと言うのも、数秒前。僕と風見を含めた公安は、とある組織、自分が潜入している組織とは別のアジトに踏み込んでいた。その時に、一つ下手をこいた

下手をこいた、というより、僕が予想していなかった方向から銃弾が飛んで来た。それで膝をついてしまった

そして、目の前にいる敵対組織の相手に銃口を向けられて、引き金を引かれた

その銃弾が、僕に当たるものかと思った。しかし、それは僕の思い過ごし、ここにいた全員の思い過ごしだった

キンと金属が弾けるような音がして、僕は閉じていた目を開けた


「A・・・!!?」
「バウッ」


僕を守るように敵対組織に立ちはだかるAは、低い声で返事をする


「バウバウ!!」
「な、なんだ、この犬!!」
「っは、たかだか犬に何をビビってる!!ひっ捕まえて、高値で売りさばくぞ!!」


珍しい犬種ともあって、敵対組織の目はAに移った


「A、逃げるんだ!!」
「ゥウウ・・・ッ」
「A!!?」


Aは僕の言う事を聞かず、姿勢を低くした。Aは口に何かをくわえていて、それを構えているようにも見えた


「アォオオオンッッ」


姿勢を低くしていたAは、体を天井に向け、大きく吠えた。そして、再び姿勢を低くした。地面を蹴り、一瞬で相手達の隙間を縫ってすれ違った後、すれ違った時よりも素早く、こちらに戻って来た

戻って来たAは、くわえていた何かをベルトに納していた。納された瞬間、組織の奴らが倒れた


「は、」
「ワフゥ」


目の前で起こっている事に頭が追いついていない。Aがいる事についても謎が多くて、今この一瞬にAは一体何をしたんだ?


「ふ、降谷さん!!ご無事ですか!!?」
「あ、ああ・・・。取り敢えず、コイツらを捕らえるぞ」
「はい!!全員確保に当たれ!!」


風見の号令で部下達が気絶している組織の奴らに手錠をかけて行く。その様子をAは僕の周りを回りながら見ていた

落ち着きがないというよりは辺りを警戒しているような装いだ。確かに、予想外の攻撃を受けて、僕も辺りを警戒していた

そう言えば、と思い出すのは、組織の奴らが僕達が踏み込む事が、分かっていたような口振りで話していた事だった。それに僕を撃った場所には公安の人間がいたはずだ

つまり、敵は外側ばかりではなく、内側にも潜んでいるという事だ


「風見。僕は先に撤退する」
「分かりました。お気を付けて」
「ああ、後は任せた。A」


ウロウロと辺りをうろついているAに声を掛けて、自分の車の方に向かった

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作者名:空白可能 | 作成日時:2022年10月11日 23時

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